網入りガラスの熱割れ発生原因と対策、修理交換費用について

網入りガラスの熱割れとは

網入りガラスの熱割れ現象は、なぜ起きるのか

窓やドアに使われているガラスにはたくさんの種類がありますが、ガラスの中に黒いワイヤーが埋め込まれている「網入りガラス」を見かけることは多いのではないでしょうか。

網入りガラスは住宅だけでなく店舗や公共の施設、オフィスビルや工場ほか様々な建築物に使用されており、透明フロートガラスや型板ガラスと並んで私たちの生活を支えています。

そんな身近な存在の網入りガラスですが、「熱割れ」と呼ばれる自然破損を起こすことがあります。

今回は網入りガラスが起こす熱割れについて、発生のメカニズムや予防対策方法、熱割れが起きてしまった時の応急処置方法などを詳しく解説いたします。

また、割れてしまった網入りガラスの修理や交換にかかる費用相場、賃貸マンションで熱割れが起きた時は誰が修理費用を負担するのか、利用できる保険などもご紹介しております。

網入りガラスが熱割れを起こしてしまった、熱割れが心配なので事前に備えておきたい場合などの参考にご活用ください。

網入りガラスとは?

網入りガラス

網入りガラスとは、金属製のワイヤーが封入されているガラスのことを指しています。

型板ガラスにも用いられているロールアウト製法によって製造されており、溶融炉で溶かしたガラスを2本の冷水ロールで構成されるロールアウトマシンの間に通す際にワイヤーを挿入することで、1枚のガラスの中に網が封入された状態となります。

網入りガラスに使用されるガラスは、透明な磨(みがき)と、凹凸模様がついた霞(かすみ)の2種類があります。

磨(みがき)はガラス表面がツルツルとしており視界がクリアですが、製造時に表面を磨く工程が必要となるため霞よりも料金が高いです。

霞(かすみ)は型板ガラスと同じでガラスの片側に細かな凸凹模様が付けられており、ガラスの向こう側を見るとシルエットがぼやけてあやふやになるため、採光や換気で窓が必要だけどプライバシーを守りたい場所での使用にピッタリです。

ワイヤーの配置は3タイプあり、ワイヤーが斜めでひし形模様に見えるヒシワイヤタイプ、ワイヤーが縦横に配置され格子状となっているクロスワイヤタイプ、ワイヤーの交差がなく縦線のみのプロテックスタイプがございます。

縦線のみのプロテックスタイプの網入りガラスは、線入りガラスとも呼ばれています。

網入りガラスは防火設備として使用できる

そもそも何故ガラスの中にワイヤーが入っているのかですが、これにはきちんとした理由・目的がございます。

網入りガラスは火災が起きた際に、炎の燃え広がりや酸素の供給を防ぐ効果があります。

ワイヤーが入っていないガラスは、通常は割れると破片が飛散して割れ落ちるため簡単に穴が開いてしまいます。

ですが、網入りガラスが割れたときは、破片がワイヤーに引っ掛かって絡めとられるため、飛散や脱落は起きにくくなっています。

火災が起きると炎は酸素のある方に燃え広がって被害が拡大しますが、開口部に網入りガラスが設置されていると、延焼広がりが起きにくく炎の酸素取り込みを抑止する効果があるため、火災の被害拡大を食い止めることができるのです。

防火地域や準防火地域では、窓やドアといった開口部に防火設備を設置することは建築基準法によって定められており、網入りガラスは防火設備として認められています。

そのため、人口の密集しやすい地域や、マンションやアパートといった集合住宅では網入りガラスが積極的に採用されているのです。

網入りガラスに防犯効果はない

網入りガラスは金属製のワイヤーが入っていることから一見すると強度が高そうに見えるため、「網入りガラスには防犯性がある」と認識されることが多いのですが、網入りガラスは性質上、防犯には非常に不向きです。

ガラスの中に封入されているワイヤーは標準的な金属でできた網であり、金属用のカッターやニッパーといった道具を使えば誰でも簡単に切断することができます。

また、フロート透明ガラスや型板ガラスなど一般的なガラスは衝撃を受けて割れた時に大きな破壊音が起きますが、網入りガラスはワイヤーが音を吸収するため、破壊音が目立ちにくいという性質があります。

このように破壊が簡単かつ音も目立たないということから、空き巣や居抜きなどを行う窃盗犯が窓を割って家の中に侵入しようとするには都合がいいとも言え、侵入経路に網入りガラスを積極的に狙う犯罪者もいると言われています。

そのため、前述のとおり網入りガラスは火災時の延焼広がりを防ぐ目的とした防火設備として使用・設置するものであり、防犯目的の設備としては効果はないのです。

網入りガラスが熱割れを起こす仕組み

網入りガラスの熱割れ発生原因と特徴

網入りガラスの熱割れは、ガラスの中央部分と周辺のサッシ部分とで温度差が生まれた時に発生する自然破損現象です。

物や体をぶつけたり強い力で押したりするなど、衝撃を受けていないにも関わらず勝手に網入りガラスが割れていたのであれば、熱割れを起こしている可能性があります。

ガラスは温度が高くなると膨張する性質を持っているのですが、熱を受けている箇所と受けていない箇所ではガラスの膨張率に大きな差が生じます。

膨張率の差によってガラスの中で引っ張り合いが起きることを引張応力または熱応力と呼び、圧力がガラスの強度を超えたときに、ガラスのエッジ部分から熱割れが発生するのです。

熱割れはフロート透明ガラスや複層ガラス(ペアガラス)など他のガラスでも発生しますが、網入りガラスは数あるガラスの中でも特に熱割れを起こしやすいという特徴があります。

理由は網入りガラスの中に封入されている金属製のワイヤーで、黒いワイヤーは熱を吸収しやすいため、網の無いガラスと比較して熱の影響をより受けやすい性質であるからです。

また、後半で解説しますが、網入りガラスはワイヤーが入っていることで錆割れを起こすリスクもございます。

熱割れによって割れたガラスの特徴

熱割れしたガラスのヒビの特徴

熱割れは特徴的な割れ方をするため、簡単に見分けることができます。

網入りガラスの破損原因が熱割れなのか、何か別の原因によって割れてしまったのかを判断するには、「ヒビが発生している場所・ヒビの角度・ヒビの本数」を確認するとわかりやすいです。

網入りガラスの熱割れは、通常サッシに埋め込まれているガラスのエッジ部分から発生します。

ヒビ割れはエッジ辺からガラスの中央部分に向かって直角に走ったあと、S字などカーブを描くようにゆっくりと蛇行しながら割れ広がります。

亀裂の本数は、発生個所は1本ですが、中心に向かう途中で2本ないし3本程度に分岐することもあります。

それに対し強い衝撃や圧力を受けて割れたガラスは、衝撃を受けた場所からヒビが発生します。

ヒビの本数は多く、放射状・蜘蛛の巣状に割れ広がり穴が開くこともあります。

つまり、網入りガラスが割れたとき、ヒビを見て「サッシ内部からガラスの中央に向かって直角に発生していて、2~3本程度に分岐しており、ヒビがカーブを描いている」のであれば、熱割れを起こしているということになるでしょう。

熱割れを起こしやすい時期・時間とは

網入りガラスの熱割れは、1枚のガラスの中で高温部と低温部の温度差ができることが原因ですが、この状況が起きやすい時期・時間がございます。

結論から言いますと、熱割れが起きやすい時期は「寒い冬の季節」で、時間帯は「午前中」です。

気温の低い冬場は大気がよく澄んでいる状況になることが多く、特に南側に面した窓は日射がよく当たることで網入りガラスの表面温度が高温になりやすくなります。

さらに日が昇り始める午前の間はサッシとその周辺は冷えており、サッシ内部に埋め込まれたガラスは温度が上がりにくい状況と言えるでしょう。

網入りガラスに上記のような条件が複合的に重なった結果、高温となって膨張した部分と低温で膨張していない部分で引っ張り合いが起きます。

この温度差が原因で起きるガラスの引っ張り合いは「熱応力」と呼ばれ、熱応力が限界を超えると網入りガラスは熱割れによって破損してしまうのです。

また、以上の条件に加えて、日光の照射量が高くなる天気が良く晴れた日には、特に熱割れが起きやすいと言われています。

網入りガラスが熱割れを起こしやすい3つの理由

網入りガラスが熱割れを起こしやすい理由とは

熱割れ現象は、実は網入りガラス特有の現象ではありません。

ガラスの中にワイヤーが入っている・入っていないに関わらず、どんなガラスでも発生する可能性はあるのです。

ガラスが起こす熱割れは、日射の吸収率、ガラスとサッシの取り付け構造、窓ガラスと影との位置関係や状態、窓の使用環境など、様々な条件が重なることで発生します。

そのため条件が揃えば、ワイヤーの入っていないガラスだったとしても、熱割れを起こして破損することもあるのです。

ですが、網入りガラスは他のガラスに比べると、特に熱割れを起こす確率が高いと言われています。

なぜ網入りガラスが熱割れを起こしやすいのかというと、いくつかの特徴的な理由があるからです。

その理由を知っていれば、予防や再発防止に役立てることができるはずです。

網入りガラスが熱割れを起こしやすい理由は、その構造が大きく関わっているのですが、特に3つのポイントに分かれます。

以下で、それぞれのポイントについて、詳しく説明いたします。

理由①ガラス内のワイヤーが熱を吸収しやすい

ガラスは日射や温風などで熱を受けると膨張する性質を持っているのですが、網入りガラスまたは線入りガラスの中に封入されている金属製のワイヤーも、熱を受けると膨張します。

金属製のワイヤーはガラスよりも熱膨張率が高い素材であり、黒色をしていることから特に熱を集めやすいです。

そのため、金属製のワイヤーは熱を受けると大きく膨張して体積が増え、周辺のガラスを強く圧迫してしまいます。

また、日陰部分やサッシ内部に位置するガラスは、熱を受けておらず冷えていることから膨張現象は起こりません。

このように1枚のガラスの中で、熱を受けている中央部分、金属製ワイヤー、サッシ内部の冷えている部分、それぞれの膨張係数が異なることから、網入りガラスは熱割れに対する抵抗力が低いのです。

特にガラスの切断面(エッジ部分)は、金属製のワイヤーがむき出しになっている部分であり、熱を受けて膨張した際の影響を受けやすいウィークポイントとなっています。

そのため、網入りガラスのは網の入っていないガラスと比較すると強度が半分程度しかなく、熱割れを起こしやすくなっているのです。

理由②網入りガラスはクリーンカットができない

網入りガラス・線入りガラスは構造上、クリーンカットが難しく、一般的な板ガラスよりも強度が低いという特徴があります。

網入りガラスは、金属製のワイヤーがガラス内に埋め込まれた構造であることから、窓に合わせて必要なサイズにカットした際には、ガラスのカット面(エッジ部分)は金属製のワイヤーがむき出しの状態となってしまいます。

ワイヤーがエッジ部分から見えている状態だと、ワイヤー周辺部分のガラスには小さなキズや段差、欠け、ガタつきが生じやすくなっています。

ガラスのエッジ部分についた小さなキズや欠けは、言わばガラスにとっての弱点であり、熱を受けてガラスが膨張したりワイヤーが錆びの影響で膨張したりするなど、強い圧力を受けてしまうと、そこが起点となってヒビ割れが発生してしまう可能性が高くなるのです。

クリーンカットとは?

クリーンカットとは、簡単に言うとガラスを切断する際に、切断面をキレイな状態でカットすることを指します。

クリーンカットはガラスを切断する際に必須とされる技術であり、クリーンカットによって切断面がキレイな状態となったガラスは熱割れや錆割れの影響を受けにくいため、長期的かつ安全に使用できる大切な要素と言えるでしょう。

別名で「クリアカット、クリアーカット」などと呼ばれることもありますが、内容はすべて同様です。

ガラスは切断面にキズがあると強度が下がってしまうため、通常はカットする箇所すべてを同時に切断することで、切断面にキズや段差、ガタつきや欠けなどが生じないようにします。

ガラスの修理交換など現場において手作業でガラスの切り取りを行う場合には、ガラス用カッターでガラスをカットしてから、ベルトサンダーやディスクグラインダーといった電動工具を用いて切断面を研磨し、小さな傷や欠けの除去処理を行うことで切断面をキレイに整えます。

ですが、網入りガラスには金属製のワイヤーが封入されており、切断面からはワイヤーが出ている状態となるため、完全なクリーンカットを行うのは難しいのです。

そのため、網の入っていない板ガラスと比べると、網入りガラスの切断面は荒れた状態となってしまうのです。

対策として、一般的なガラス修理交換業者では、網入りガラスをカットした後には切断面を研磨し、更にサビ止め剤を塗布する方法がよく使われています。

ただし、サビ止め剤は経年とともに劣化して効果が落ちるため、長期間使用した網入りガラスは熱割れや錆割れのリスクが高くなるということに注意する必要があると言えるでしょう。

理由③網入りガラスのゴムパッキンが劣化する

上記で何度か触れたように、網入りガラスの切断面は金属製のワイヤーがむき出しの状態となっています。

ワイヤーは熱を受けると膨張しますが、サビが発生したときにも膨張します。

錆びたワイヤーは膨張することで元々の太さよりも体積が増え、強くガラスを圧迫します。

膨らんだワイヤーによって圧迫を受けた部分は、強度が著しく低下した状態となってしまいます。

この状態のとき、ガラスが日射や温風などの熱を受けて高温となり膨張すると、ワイヤーが錆びて強度が低くなった部分には強い圧力がかかってしまい、耐えきれなくなるとそこが起点となって熱割れが発生することがあるのです。

網入りガラスに封入された金属製のワイヤーが錆びてしまう原因は、ワイヤーに水分が触れてしまうことにあります。

通常はガラスをサッシに固定しているパッキン(グレージングチャンネル)が、防水の役割りも担っているため、網入りガラスのエッジ部分に水分は触れないように工夫されています。

ですが、経年劣化によってパッキンが損傷すると、隙間ができてしまい、そこから雨水や結露水などが侵入し、ワイヤーを腐食させてしまうのです。

網入りガラスの熱割れを防止・予防する7つの方法

網入りガラスの熱割れ予防・対策方法

ここからは、網入りガラスに起きる熱割れを防止・対策する方法についての解説となります。

熱割れは引張応力とも呼ばれており、「熱応力」が原因で発生するガラスの自然破損現象です。

熱応力は「ガラスが熱を受けて膨張したとき、冷えて膨張していない部分との引っ張り合いが起きる」という現象のことを指しており、様々なガラスの種類の中でも、特に網入りガラスで起きやすいとされています。

そのため、網入りガラスの熱割れを予防するには、「窓ガラスの設置環境を熱応力が起きにくい状況」にしておくことが重要であり、もし現在窓まわりの環境が熱割れを起こしやすい状態になっているのであれば、早急に環境を整えることも大切です。

以下で、網入りガラスの熱割れを防止・予防する方法を、7つの項目に分けて詳しくご紹介いたします。

網入りガラスの熱割れ予防①網入りガラスとカーテンに十分な距離を持たせる

カーテンはお部屋に入る強い日差しや紫外線をカットする効果があり、目隠しになることからプライバシーを保護する役割もあるなど、快適に暮らすための必須アイテムと言っても過言ではないでしょう。

ですが、カーテンは使い方によっては網入りガラスが熱割れを起こす原因なるため、正しく使用する必要があります。

網入りガラスとカーテンの距離が近すぎると、熱がこもりやすい状況となるため、ガラスの温度が上がり熱割れを引き起こす可能性があります。

特に断熱性に優れている遮光カーテンは、日射による熱が反射してしまうことでガラスの熱吸収率を高めてしまうこと、集まった熱が放出されにくい環境をつくってしまうことから、熱割れを起こすリスクが高いと言われています。

対策方法は、網入りガラスとカーテンの間は密着させないことで、具体的には10センチ以上の距離を開けると熱がこもりにくくなります。

レースのカーテンを間に挟むのも、網入りガラスの熱割れ対策に効果的です。

また、カーテンを閉めた状態では距離が取れていても、束ねた状態では窓に密着することもあるため注意が必要です。

なお、ブラインドもカーテンと同様で、ガラスとの距離が近いと熱割れを起こす可能性があるため、十分な距離を取って設置するようにしましょう。

網入りガラスの熱割れ予防②網入りガラスの近くに物を置かないようにする

窓の近くに物を置く時は窓と十分な距離をとる

網入りガラスの近くに物を置くことも、熱割れを起こす原因となります。

窓ガラスのすぐ近く、または密着した場所に物が置かれている状況では、ガラスが吸収した熱が逃げにくくなるからです。

ガラスの付近に物を置く場合は、熱割れ対策として、十分に距離を開けるようにするようにしましょう。

例として、タンスやソファ、机やベッドといった家具、空気清浄機や加湿器といった家電製品、ダンボール箱や観葉植物、照明器具やゴミ箱などは、ガラスから離れた位置に置くことをおすすめいたします。

カーテンレールやサッシを使って洗濯物を干している場合や、窓の近くで布団や毛布を干している場合も、網入りガラスが熱割れを起こすリスクがあるため注意しましょう。

物ではありませんが、網入りガラスにポスターや紙を貼ったり、ペンキや絵の具などが塗ったりすると、その部分の熱吸収率は極度に大きくなり高温となってしまうため、ガラス面に何か貼る・塗るのはやめておくことをおすすめいたします。

また、短時間だからと物を一時的に仮置きしていただけだったのに、気が付いた時には網入りガラスが高温になって熱割れを起こして破損していた、というケースもございます。

特に東向きや南向きなど、日当たりが良い位置に設置されている窓は、ガラスの温度が上昇するスピードが非常に早いため、十分に注意しなければなりません。

網入りガラスの熱割れ予防③ガラス用フィルムを貼る場合は、網入りガラスに使える種類を選ぶ

窓にフィルムを貼る時は網入りガラスに使える種類か確認しよう

窓ガラス用のフィルムは貼るだけで遮熱・遮光・結露防止・防犯・防災・UVカットほか様々な効果を得ることができ、ホームセンターやインターネットの通販サイトなどで安価に手に入れることができることも相まって、近年では人気の製品となっています。

便利で生活を快適にする窓ガラス用のフィルムですが、ガラスとの相性が悪いと熱割れを起こす可能性があるため、導入する際には種類選びに注意しなければなりません。

中でも網入りガラスは金属製のワイヤーが熱を集める性質を持っていることから一般的な板ガラスよりも熱割れリスクが高く、貼ることができないフィルムも多いのです。

特に、遮熱効果のあるウインドウフィルムとの相性は決して良いとは言えません。

そのため、網入りガラスに窓用フィルムを貼りたい場合は、ウインドウフィルムを取り扱っているプロのガラス屋に相談して施工を依頼されることをおすすめいたします。

もし市販されているフィルムを購入する場合は、貼り付けることができるガラスの種類がパッケージや説明書に記載されているので、しっかり確認するようにしましょう。

網入りガラスの熱割れ予防④暖房器具の温風が直接網入りガラスに当たらないようにする

エアコンやストーブ、室外機などの温風が網入りガラスに当たらないようにする

網入りガラスの熱割れは、日射による熱の影響だけでなく、家電の熱によって起きることも少なくありません。

エアコン、ストーブやファンヒーターといった暖房器具が発する温風、または輻射熱が直接網入りガラスに当たることで、熱割れを起こすことがあります。

温風または輻射熱がガラスに当たらないように、暖房器具の位置や風向きを調整しておきましょう。

白熱電球など高温となる照明器具、投光器などがガラスの近くに設置されている場合も、熱割れリスクが高いため距離をあけることをおすすめいたします。

また、室内だけでなく室外で発生している温風にも注意が必要です。

エアコンの室外機が網入りガラスと向い合せになっている、室外機は屋外向きだけどベランダが狭くて温風の逃げ場がないといった状況でも、網入りガラスが熱割れを起こす可能性があるのです。

室外機から排気される熱の方向を変更するには、専用のアダプターの取り付けが有効となります。

エアコンを製造販売している各メーカーは、室外機に取り付ける風向ガイドやルーバーといった風向調節用アダプターも取り扱っていますので、必要があれば導入するようにしましょう。

網入りガラスの熱割れ予防⑤塩害地域では、網入りガラスに付いた塩をこまめに掃除する

塩害は網入りガラスが熱割れを起こす原因

塩害とは、海から運ばれてくる潮風に含まれている塩分によって建築物や構造物、植物などが被害を受け劣化する現象のことです。

塩害というと住宅など建物、金属の被害がすぐに思い浮かぶかもしれません。

ですが、網入りガラスほか、屋外に設置されている窓やドアなどに使用されているガラスも塩害による影響を受けやすい箇所であり、塩分によって見た目が白く汚れてしまうだけでなく、熱割れを起こして割れてしまうこともあります。

網入りガラスにおいては、潮風によって流されてきた塩化ナトリウムがガラスに付着・蓄積することで、ガラスの表面が白っぽく濁ってしまう、ウロコ状の模様ができてしまう、長期間にわたって放置することでガラスそのものが劣化し、キズや歪みが発生することもあるのです。

ガラス表面が付着した塩分によって白く汚れている状態では熱がこもりやすく、さらにキズや歪みは熱割れの起点となることから、熱割れが起きるリスクが高くなります。

また、塩分は網入りガラスを固定するためのパッキンも劣化させます。

パッキンが塩分で劣化するとガラスとサッシの間には隙間ができ、ガラスの切断面に露出している金属製のワイヤーも塩分と水分が触れてしまうことでサビてしまい、熱割れや錆割れを起こす可能性もあるのです。

ガラスの塩害被害を防ぐための対策は、「付着した塩分が乾く前に水で洗い流すこと」が最も有効かつ基本的な方法となります。

もし網入りガラスの表面が塩で汚れているのであれば、ガラスの研磨ができる業者に清掃を依頼するのもおすすめです。

塩害による熱割れが起きやすい地域は?

海岸に近いエリアに建てられた住宅は、海から流れてくる多量の塩分を含んだ海風や潮風が届きやすいことから、塩害が引き起こす被害を受けやすくなっています。

お住まいの地域によって定義は異なりますが、環境省では海から500から7,000メートル以内のエリアを「塩害地域」、さらに海岸に近い200から500メートル以内のエリアを「重塩害地域」と指定しており、塩害地域または重塩害地域に該当する地域にある建築物は、塩害被害を抑えるための対策が必須といえるでしょう。

また、海岸から7,000メートル以上離れた一般地域においても、まったく塩害被害を受けないわけではありません。

土地の地形や風向きなどによっては塩害被害を受けることもありますし、台風や強風などが起きると海岸から10,000メートル以上離れている地域だったとしても潮風が飛来すると言われています。

特に高層ビル・高層マンションは塩分濃度が高い潮風を受けるため、高層階に設置されているガラスが白く濁って汚れている場合には、塩害が原因で発生する熱割れを回避するため、清掃・研磨などのお手入れを行いこまめに塩分を除去することをおすすめいたします。

網入りガラスの熱割れ予防⑥網入りガラスを耐熱強化ガラスに取り替える

耐熱強化ガラスは網入りガラスと比較して熱割れのリスクが低く、その他のメリットも多いことからオススメかつ、交換や割れ替えで選ばれることが増えている人気のガラスです。

防火地域または準防火地域では、開口部に防火性能を有する設備を使用しなければなりません。

網入りガラスは防火性能を持っており、日本では昔から防火設備として親しまれてきました。

ですが、網入りガラスの中に入っている金属製のワイヤーが日射の吸収率が高い黒色をしていることから熱割れを起こしやすい、ワイヤーが劣化して腐食すると錆割れを起こす可能性があるなど、自然破損のリスクが高いという側面があります。

また、ワイヤーが入っていることで視界の邪魔になり、ガラス越しに見た景観やお部屋の開放感を損なうといった理由から、できれば網入りガラスを避けたいと考える方も少なくありません。

そこでオススメとなるのが、耐熱強化ガラスです。

耐熱強化ガラスは金属製のワイヤーが入っていない防火ガラスで、防火地域や準防火地域での使用が認められています。

各メーカーが製造・販売を行っている主な耐熱強化ガラスは、AGC(旧・旭硝子株式会社)のマイボーカ、セントラル硝子のファイアレックス、日本板硝子のパイロクリアなどがございます。

以下で、網入りガラスを耐熱強化ガラスに交換する際の、メリットとデメリットについて詳しくご紹介します。

網入りガラスを耐熱強化ガラスに交換するメリット

窓やドアのガラスを網入りガラスから耐熱強化ガラスに交換する最大のメリットは、自然破損現象のリスクがほとんどないという点にあります。

熱割れはガラスが熱で暖められて膨張する「熱応力」という現象が起きたときに発生しますが、耐熱強化ガラスは板ガラスに高温の熱処理を加えて作られており、熱に対する耐性が高いことから熱割れを起こすリスクがほとんどありません。

また、金属製のワイヤーが入っていないため、ワイヤーの錆びが原因となって発生する錆割れを起こす心配がなく、視界を遮ることもないため景色を十分に楽しめるだけでなくお部屋に開放感を与えることもできます。

メーカー、製品にもよりますが、自然破損に対する保証として10年間の商品保証が用意されていることもございます。

そのほか、耐熱強化ガラスは熱処理加工を受けることによって強度が増しており、網入りガラスに比べると衝撃に対する耐性が高く、割れにくく頑丈であるという特徴もあります。

耐衝撃性能は一般的な透明ガラスと比較すると約6倍、強化ガラスの約2倍以上にもなります。

もし割れてしまった時には破片が小さな粒状となって砕けるため、火災や地震など災害時に人体を傷つけるリスクが低く、破片が鋭利になる網入りガラスよりも安全性が高いというメリットもあります。

網入りガラスを耐熱強化ガラスに交換するデメリット

網入りガラスを耐熱強化ガラスに交換するデメリットとして最初に挙げられるのは、費用が高額ということです。

耐熱強化ガラスは一般的なフロート板ガラスに熱処理を加えて製造されているため、商品そのもののコストや施工にかかる費用が網入りガラスと比較して高くなります。

また、現場での切り出しができない性質のため、交換する際は基本的に受注生産となります。

網入りガラスであれば、一般のガラス修理交換業者なら基本的に自社の倉庫にストックがあり、なおかつ現場での切り出しが可能ですので、交換を依頼すると最短で当日中に工事が終わることも多く、割れてしまった時の交換対応はスピーディーであると言えます。

ですが、耐熱強化ガラスを交換する場合は、現場で窓のサイズを計測してから工場に発注をかけて、商品が納品されてから工事を行うという流れになります。

割れ替えの場合は仮工事として簡単な補修作業はしてもらえることが多いですが、依頼してから本工事が完了するまでタイムラグがあるという点には注意しなければなりません。

網入りガラスの熱割れ予防⑦網入りガラスのゴムパッキンの劣化に注意する

網入りガラスは切断面から金属製のワイヤーが露出しており、ワイヤーは水分や塩分に触れるとサビや腐食によって膨張、ガラスを圧迫して熱割れや錆割れといった自然破損現象を起こすことがあります。

ガラスはゴムパッキン(グレージングチャンネル)によってサッシに固定されているのですが、このゴムパッキンはサッシ内部に雨水や結露水が侵入することを防ぐ効果もあります。

パッキンは耐熱性・耐老化・耐摩耗性などに優れており様々な環境での使用に向いていますが、有機素材のため長期的な使用や太陽光などに含まれる紫外線、雨水や結露水などの影響を受けると劣化してしまいます。

ダメージが蓄積されたゴムパッキンを放っておくと、剥がれて浮いたりボロボロになったりして、わずかな隙間が生じてしまいます。

隙間からサッシ内に水分が侵入、網入りガラスのエッジ部分に水分が触れることで、サビが発生してしまうのです。

金属製ワイヤーが錆びてしまう原因は、ワイヤーが水分や酸素と結合・反応して酸化することです。

したがって、ガラスのエッジ部分のワイヤーに水分が触れないように対策することは、網入りガラスが起こす熱割れ予防として有効と言えるでしょう。

錆割れとは?

網入りガラスの錆割れ

網入りガラスは熱割れのほかに、錆割れという自然破損現象を起こすことがあります。

錆割れは網入りガラス特有の現象で、ガラスの中に封入されているワイヤーが腐食・サビてしまうことに起因して発生します。

ガラスをサッシに固定しているパッキンが劣化・損耗すると、サッシの内部には結露水や雨水などの水分が入り込んで、網入りガラスの切断面のワイヤーを腐食・錆びさせます。

錆びたワイヤーは膨張することで、周辺のガラスを強く圧迫します。

錆びや腐食が進行してワイヤーの体積が増えると、ガラスの切断面には微細なクラックが発生し、強度の低下を引き起こします。

腐食したワイヤーの圧迫にガラスが耐えきれなくなったり、強度が低下した箇所に熱や風圧などによる応力が集中した結果、網入りガラスにヒビが入って破損してしまうのです。

ゴムパッキンはこまめな掃除で劣化しにくくなる

ガラスのゴムパッキン(グレージングチャンネル)の劣化を防いで熱割れを予防する方法は、日々の簡単なお手入れを行うことです。

結露水などの水滴やホコリが付いていたら拭き取る、カビが生えていたら除去するなど、こまめに清掃することでゴムパッキンの劣化スピードを遅らせることができます。

ゴムパッキンのメンテナンス・取り替え時期について

ガラスを固定しているゴムパッキンは有機素材ですので、熱の影響や風化、長期的な使用などよって消耗・劣化します。

耐用年数は一般的に約10年と言われており、熱割れや錆割れを予防したり、網入りガラスを快適に使用したりするには、10年を目安として定期的にゴムパッキンを取り替えるのがベストです。

ただし、ゴムパッキンの劣化速度は、お手入れの頻度や窓ガラスの設置場所、紫外線の照射量が多いか少ないかなど、使用状況や環境など様々な要因によって変動します。

網入りガラスを固定しているパッキンをチェックして、状態が悪くなっていたり異常があれば、早めの取り替えがおすすめです。

具体的には、ゴムパッキンがヒビ割れを起こしたり亀裂が入ったりしている、弾力性や柔軟性を失って縮んでいる、パッキンの四隅が剥がれたり一部が浮いている、カビが生えて掃除しても取り切れなくなったなどの症状が見つかれば、交換が必要な時期になったと言えるでしょう。

網入りガラスのゴムパッキン自体はホームセンターなどで販売されており、ドライバーや金づち、カッターやマスキングテープなどの道具があれば、DIYによって自分で交換することができます。

ただし、作業に慣れていないとガラスを割ってしまったり、サッシをゆがめてしまったりするなどのトラブルに繋がる可能性があります。

また、ゴムパッキンに緩みや隙間ができるなど正確に取り付けられていなければ、熱割れや錆割れを引き起こすことになるかもしれません。

そのため、DIYに慣れていない、自信がない場合はガラス修理業者やサッシ屋などに依頼して交換してもらうことをおすすめいたします。

熱割れした網入りガラスの交換方法について

熱割れした網入りガラスの交換方法

ここからは、網入りガラスが熱割れを起こしてしまった時に、どうすれば良いかの解説となります。

結論から言うと、もし網入りガラスが熱割れによって破損した場合は、早急な交換がおすすめです。

熱割れを起こした網入りガラスをそのまま放置すると、亀裂の範囲が広がって悪化することが懸念されます。

もし風や振動などの影響によって破片が落下すると、床や壁紙や家具など周辺をキズ付けてしまったり、近くにいた人がケガを負ったりするなど、別の被害を誘発してしまう恐れがあります。

また、空き巣や泥棒などの窃盗犯の中には、割れたガラスが放置されているのを見て「防犯意識や警戒心が低く、侵入しやすい家」だと判断し、狙いをつけることもあると言われているのです。

そのため、熱割れを起こした網入りガラスは出来るだけ早い交換対応がオススメとなります。

交換方法は2通りで、ガラス屋などの業者を利用する、または自分で作業を行うこともできます。

また、すぐに交換ができない状況では、応急処置を行うのも良いでしょう。

以下で、網入りガラスが熱割れを起こしたときの応急処置方法、ガラス屋に依頼するときの流れ、自分で交換作業を行う際の手順について、詳しく解説いたします。

熱割れを起こした網入りガラスの応急処置方法

まずは、網入りガラスが熱割れを起こした時の応急処置方法についての解説です。

災害などでガラス修理業者がすぐに来れない、ガラスの在庫が無くて工事まで時間がかかる、自分で修理作業を検討している場合などの状況では、熱割れの範囲が拡大しないように、とりあえず応急処置を行っておくのがおすすめとなります。

応急処置を行う際に必要となる道具は、テープとダンボールがあればよいでしょう。

テープは用意が可能であれば、ガラス用の補修テープ、養生テープや布テープがおすすめで、水に弱い紙製のガムテープは避けてください。

ダンボールもできれば水に強いプラスチックダンボールがおすすめで、なければ一般的な紙製のダンボールとビニールシートの組み合わせがおすすめです。

プラスチックダンボールは100円均一やホームセンターなどで手に入れることができます。

応急処置の手順は、以下の通りです。

まず、熱割れの亀裂に沿ってテープを貼ります。

続いて、網入りガラス全体を覆うようにプラスチックダンボールを貼って、テープで固定します。

プラスチックダンボールが無い場合は、ダンボールを貼ったあとにビニールシートで全体をカバーしてテープで固定するのがおすすめです。

ガラス修理業者に交換を依頼する

網入りガラスが熱割れを起こした場合の対応では、ガラス修理業者に依頼して交換してもらうのが最もおすすめです。

網入りガラスは流通量が多く需要が高いガラスであり、大多数のガラス屋は自社倉庫などにある程度のストックを確保しています。

現場での切り出し加工ができる製品のため、予約が空いていれば依頼したその日の内に交換工事がすべて完了できるケースもございます。

また、ガラス屋を利用すると交換だけでなく不要なガラスの回収や処分も基本作業に含まれている、ガラスの扱いに慣れているため自分で作業するより確実かつスピーディーである、万が一何かあったときにはアフターフォローサービスを受けることができるなど、様々なメリットもあるのです。

ガラス屋に依頼する際の流れは、以下の通りです。

①ガラス修理業者に電話、メール、チャットなどで連絡をとる

②出張見積もりの日時を予約する

③スタッフが現場に出張、ガラスのサイズ計測や周辺環境の調査を行う

④見積もり金額、作業内容が提示されるため問題が無いか確認する

⑤内容に問題がなければ、ガラスの交換作業開始となる

⑥作業が終了したら、工事に不備がないか立ち合いで確認する

⑦料金の支払い

網入りガラスの修理交換の依頼先は、一般的なガラス屋だけでなく、工務店や一部のホームセンター、ハウスメーカーなどがございます。

ガラスに関しての施工技術・知識量・対応の早さを求めるのであれば、ガラスの専門業者である一般的なガラス屋を選ぶことをおすすめいたします。

熱割れした網入りガラスを自分で交換する

熱割れで破損した網入りガラスは、ご自身で交換することもできます。

DIYで網入りガラスを交換する手順は、以下の通りです。

①サッシを枠から外し、分解して破損した網入りガラスをすべて取り外す

②新しいガラスにゴムパッキンを取り付けて、サッシにはめ込む

③サッシを組み立てたら枠内にセットし、固定する

DIYによって網入りガラスを自分で交換するメリットは、ガラス屋を利用するよりも金額を安く抑えることができるということです。

人件費がかからないため、節約を意識して生活している方の中には、ご自身でガラス交換作業をしたいと考える方もおられるのではないでしょうか。

網入りガラス自体はガラス屋で購入することが可能で、店舗に行って必要な大きさや厚さをガラス屋に伝えると、切り出して販売してもらえるため、入手自体は簡単です。

ですが、DIYによるガラス交換は難易度が高く、デメリットが多数あることから基本的にはおすすめすることができません。

まず、ガラスを交換するために揃えなければならない道具が多く、ガラス自体も自分で用意する必要があります。

熱割れを起こした元の網入りガラスは自分で処分しなければならず、手間や時間がかかってしまうのです。

加えて、施工状態が悪いとせっかく新しい網入りガラスに交換したのにも拘わらず、ガタつきや隙間風が発生する、パッキンがうまく取り付けられていないことから熱割れや錆割れが起きやすい状況になっているといった問題が起きることもあります。

自分で作業しますので工事後の保証は当然ありませんし、工事中に新しいガラスを割ってしまったりケガを負ったりするなどのリスクにも注意が必要です。

このようにDIYはすべて自己責任かつ危険度も高いため、基本的にはガラスに関することはガラス屋に任せることをおすすめします。

熱割れした網入りガラスの修理交換にかかる費用について

網入りガラスの熱割れ交換にかかる費用・保険について

ここからは、熱割れを起こした網入りガラスの修理交換にかかる費用についての解説です。

おおよその相場と内訳内容だけでなく、賃貸物件で熱割れが起きたら誰が修理費用を支払うのか、火災保険が利用できるのかなどについて、詳しくご説明しています。

網入りガラスの修理交換費用の相場は?

熱割れを起こした網入りガラスの修理交換にかかる費用は、大まかな目安が約32,000円から約60,000円です。

この金額は、ガラスサイズが横900mm、縦1,800mmを想定したもので、ベランダなどに設置されることの多い掃き出し窓を標準的な工事内容で交換したものとなります。

費用の内訳は、ガラスの本体価格、基本作業費、古いガラスの処分費用、部品代、出張費です。

ガラスの修理費用は、現場の状況や作業内容ほか、様々な要因によって変動します。

たとえば、現場となるマンションにエレベーターが無く、階段でガラスを運ぶ場合では別途運搬費がかかることや、サッシや戸車といった部品が破損していて修理が必要な状況では部品代や作業費が追加で発生することもあるのです。

また、ガラス屋によって内訳内容には差がありますので、ガラスの修理を依頼する際は、事前の見積もりがとても重要となります。

作業前と作業後で提示されている値段が違う!といったトラブルにならないよう、見積もり料金に不明な項目はないか、見積もりの内容が最終的に支払う金額なのかなどをしっかり確認するようにしましょう。

賃貸物件で網入りガラスが熱割れを起こしたら

賃貸物件で網入りガラスが熱割れを起こした場合は、原則として貸主に修理費用の負担義務が発生します。

国土交通省は「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」の中で、構造に起因して自然発生する網入りガラスの亀裂について「賃借人に責任はないと考えられる」と明記しています。

入居者がガラスを故意または過失によって破損させたのであれば、入居者が修理費用を支払わなければなりませんが、網入りガラスの熱割れや錆割れは自然現象によって発生しますので、修理費用はオーナーや管理会社など貸主側が負担となるのです。

ただし、たとえ自然破損現象である熱割れであっても、善管注意義務違反とみなされた場合では、入居者が修理費用を支払わなければならないケースもございます。

例として、網入りガラスが熱割れによって破損していることに気が付いているのにも関わらず放置して、破損部位が悪化・拡大したり、ガラスが割れ落ちて破片や風雨が室内を汚損したりした場合が当てはまります。

また、わざと網入りガラスを熱割れさせた、熱割れを何度も繰り返し起こしたなどのケースも同様です。

そのため、マンション、アパート、一軒家に関わらず、賃貸住宅で網入りガラスの熱割れを発見した場合はできるだけ早く管理会社やオーナーに連絡するようにしましょう。

また、網入りガラスが熱割れを起こさないように注意し、環境を整えることも大切です。

分譲マンションで網入りガラスが熱割れを起こしたら

分譲マンションで網入りガラスの熱割れが発生した場合は、その部屋の所有者が修理交換にかかる費用を支払うことになります。

集合住宅で設備が破損した場合、共有部分は管理組合が、専有部分においては区分所有者が改修を行います。

網入りガラスを含む窓ガラスは共有部分ではあるものの、区分所有者(各戸の住人)だけが使用するものであることから、区分所有者に対する専用使用権が設定されています。

そのため、網入りガラスが熱割れを起こしたら、専用使用権を有する各住戸の区分所有者、つまり入居者が修繕を行うことになるのです。

分譲マンションにおける網入りガラスの修理交換で注意しておきたいポイントは、自分の所有する区分であっても自由にガラスの種類を選べないということです。

窓は建築物全体の景観に影響を与えること、集合住宅では開口部に防火性を有する設備の設置が義務付けられていることから、選べるガラスの種類は限られています。

元と同じガラスなら特に問題ありませんが、もし熱割れした網入りガラスをワイヤレスタイプの耐熱強化ガラスに交換したい、カラー付きや模様が入ったガラスに変更したい場合は、管理組合に確認を取るようにしましょう。

網入りガラスの熱割れは、火災保険が適用される

網入りガラスの熱割れは、火災保険の補償範囲に含まれていることが一般的であり、修理や交換にかかる費用を保険金で補填できる可能性がございます。

火災保険というと名称から「火事が対象の保険」と思われる方が多いのですが、実際の補償範囲は広く、例として火災や落雷、風災や盗難ほか住宅の様々な損害が対象となっています。

網入りガラスが起こす熱割れについては、多くの火災保険において「不測かつ、突発的な事故によって生じた損害」という項目に該当しており、保険会社に申請すると保険金の支払い対象となる可能性が高いのです。

ただし、保険会社や契約プランによって補償範囲や適用の可否は異なります。

また、修理交換の費用が免責金額を超過しない場合は、保険金の支払い対象外となる点にも注意しなければなりません。

加入されている火災保険において、網入りガラスの熱割れが補償範囲内であるかどうか、免責金額がいくらに設定されているかは、保険会社のパンフレットやホームページ、契約書などを確認するか、電話やメールで保険会社に直接問い合わせて確認することができます。

網入りガラスの熱割れについてのまとめ

今回は、網入りガラスの「熱割れ」についてご紹介しました。

熱割れはガラスが起こす自然破損現象で、ガラスが日射や温風などを受けたとき、高温になった部分と、サッシ内部など低温の部分とで温度差が大きくなると発生します。

網入りガラスは内部に金属製のワイヤーが封入されていて、熱を吸収しやすく切断面にクラックが生じやすいなど構造上の理由から、他のガラスと比較して特に熱割れを起こすリスクが高いという特徴があります。

そのため、網入りガラスを使用する際は、熱割れを起こしにくい環境づくりや日常的な対策が大切と言えるでしょう。

網入りガラスの熱割れを防止する方法はいくつかありますが、最も重要となるのは、「網入りガラスが高温にならないようにすること」です。

具体的には、カーテンや家具は窓から十分な距離を取って配置する、エアコンやストーブや室外機などから出る温風がガラスに当たらないようにするなどが、有効的な対策方法となります。

また、ガラスを支えるゴムパッキンが劣化・損耗すると、網入りガラスの熱割れや錆割れのリスクが高くなってしまうため、こまめに掃除したり劣化していたら交換したりするのも予防方法としておすすめです。

もし網入りガラスが熱割れを起こした場合は、ガラス屋を依頼して交換してもらうことをおすすめします。

自分で交換することもできますが、難易度が高く時間や手間がかかる、ケガや失敗のリスクが高いなどの理由から、ガラスの取り扱いに慣れたプロに任せるのが無難です。

網入りガラスの交換にかかる費用は、大まかな目安が約32,000円から約60,000円ですが、現場の状況ほか様々な要因によって値段が変わるため、詳細な料金は現場での調査が必須となります。

修理費用の負担については、通常は分譲住宅であればオーナーや管理会社など貸主負担、分譲住宅など持ち家であれば所有者負担となります。

網入りガラスの熱割れ修理にかかる費用は火災保険の補償でカバーできる可能性が高いので、火災保険に加入されているのであれば、保険会社に確認されることをおすすめいたします。

ガラス屋ミーアは、年中無休でのガラスの修理交換に対応しております。

網入りガラス同士の取り替え工事であれば、最短で当日中にすべての作業を終わらせることができます。

網入りガラスからワイヤレスタイプの耐熱強化ガラスへ変更されたい場合も、最短日程にて対応させていただきます。

一戸建てやマンションやアパートといった住宅、ビルや店舗ほか、建物の種類を問わず工事に対応しておりますので、網入りガラスの熱割れでお困りの際は、ガラス屋ミーアにお気軽にご相談ください。

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