網入りガラスについて
網入りガラスとは
網入りガラスとは、ガラスの中に金網(ワイヤー)が封入されており、線入りガラスやワイヤー入りガラス等、色々な呼び方をされているガラス板です。
ガラスが破損した場合、中に封入されているワイヤーによって破片が支えられ、ガラスの飛び散りや崩れ落ちを防ぎ、二次被害を回避する事が出来ます。また、ガラスに孔が開きにくい性質から、火災時には炎の侵入を遮断し燃え広がりを防ぐ効果もあります。
網入りガラスは、建設省告示1360号に規定される防火設備として指定されている為、防火設備用ガラスとも呼ばれており、マンションの高層階や火を扱う飲食店、ガソリンスタンド等、様々な場所で使われており、昔からよく見る馴染みのあるガラスとなっています。
製造方法には、型板ガラスと同様のロールアウト法という工法が使われています。
ロールアウト法は、溶融したガラスを上下に配置された2本のロールで挟み込み、引き伸ばすことで板ガラスに形成される仕組みですが、網入りガラスの場合は、ロールに通す前に「ガイドロール」という装置にワイヤーを沿わせて溶融ガラスと合体させることで、ワイヤーを封入しています。
なお、ガラス内のワイヤーの配置によって種類が異なり、ヒシワイヤ、クロスワイヤ、プロテックスと大きく3タイプに分かれています。
ワイヤーが斜めに配置されて全体が菱形模様に見えるヒシワイヤタイプと、縦横に配置され格子状となっているクロスワイヤタイプは、防火設備として使用する事が出来ます。
プロテックスは上記2種類とは違いワイヤーが交差しておらず、縦線のみで構成されたストライプ模様である為、線入りガラスとも呼ばれています。このタイプのガラスは防火設備には認定されていませんが、フロートガラスよりも安全性が高い事から防煙垂れ壁などによく利用されています。
また、ガラス自体の質感も磨(みがき)と霞(かすみ)の2種類から選ぶ事が出来ます。
磨(みがき)は、名前の通りガラス表面を磨いて製造されている為、表面がツルツルしていて透明である事が特徴です。
一方、霞(かすみ)は、型板ガラスのようにガラス表面に凹凸が出来るような加工が施されており、視界を遮る事が出来る目隠し効果を持っています。
磨は透明ガラスタイプ、霞は型板ガラスタイプの網入りガラスとイメージすると分かりやすいかと思います。
ワイヤーの配置の違いが3種類、ガラスタイプの違いが2種類ありますが、これらはそれぞれ別々の組み合わせが出来ます。
その為、網入りガラスは磨ヒシワイヤ、霞ヒシワイヤ、磨クロスワイヤ、霞クロスワイヤ、磨プロテックス、霞プロテックスの6種類から選ぶ事が出来ます。
厚みの種類は商品ごとに異なり、磨ヒシワイヤと磨プロテックスは6.8mmと10mmの2種類がありますが、磨クロスワイヤは6.8mmしかありません。最大サイズは厚さによって違い、6.8mmの場合は3657mm×2438mm、10mmの場合は4572mm×2438mmです。また、6.8mmは磨プロテックスの場合のみ2438mm×1829mmが最大サイズになります。
網入りガラスの耐熱温度は、一般的なフロートガラスと同じ約110℃です。
お湯の温度は沸騰しても100℃ですので、熱湯程度であればガラスにかかったとしても割れませんので、お風呂の窓ガラス等、多少温度が上がる場所でも問題なく使用する事が出来ます。
殆どのガラス板は、ガラスカッターという専用の工具を使い簡単に切断する事が出来ます。
しかし、網入りガラスにはワイヤーが入っている為、切断は難しいと思われるかもしれませんが、ガラスカッターで切り込みを入れたガラス板を軽く折り曲げるだけで簡単にワイヤーごと切り離す事が出来ます。また、切断加工だけでなく穴あけや磨き、曲げ加工など、殆どの加工が容易に行えます。
片面に磨り加工やフロスト加工を施す事も可能ですが、その場合ガラス自体の強度が落ちるので注意が必要です。網入りガラスの強度を落とす事なく目隠し効果も持たせたいのであれば、霞タイプの網入りガラス(網入り型板ガラス)をご利用ください。
なお、今あるガラスに目隠し用のフィルムは貼る事で簡単に目隠し効果を得る事は出来ますが、フィルムを貼り付ける事で熱割れしやすくなり、破損の恐れがある為オススメ出来ません。
また、網入りガラスは金属製のワイヤーとガラスの膨張係数が異なるため、熱処理加工を加えると割れてしまいます。そのため、強化ガラスにするなどの特殊加工は出来ません。
網入りガラスのメリット
防火設備として使用できる
網入りガラスは防火設備用ガラスとも呼ばれており、防火地域や準防火地域において防火設備として利用する事が出来るガラスです。
建物の窓やドア等、人間にとっての出入り口は火災時の炎にとっても出入り口となってしまう為、開口部は火災時の延焼リスクが高く、しっかりと戸締りをしていても通常のガラス板では、耐熱温度を超える強い熱を受けると割れてしまいます。
網入りガラスも同様に割れてしまいますが、中に入っているワイヤーによって割れたガラスの破片が飛び散る事なく、板状のままその場で支える為、ガラスに穴が開く等の隙間が出来にくくなり、炎が外に流出する事による燃え広がりを防ぐ効果があります。窓やドアなどの開口部分のガラスを網入りガラスにする事で、火災被害の拡大を食い止める事が出来ます。
なお、ご自宅から出火した炎が周辺に燃え移ってしまうことは、周囲への被害によっては損害賠償を求められる事もある為、防火地域・準防火地域でなくても個人的に網入りガラスを採用する事でリスクを回避する事に繋がります。
防火設備とは?
防火設備とは火災が起きた際の炎の燃え広がりを防ぐ、炎を遮る耐火構造を持つ設備の事です。
国の政令によって定められた技術的基準を満たし、正式に国土交通大臣の認定を受けたものと法律で定められているものです。防火設備が必要な建物・施設は「防火地域」「準防火地域」といい、その地域と広さによって建築基準法で定められています。
基本的には、街の中心部や商業地域、住宅が密集した市街地など人口の多い場所が防火地域、その周辺地域を準防火地域とされ、延焼が広がるリスクが高い建物の窓や玄関等、細かい箇所も指定されており、その場所には必ず防火設備を設置しなければなりません。
なお、自己判断で防火設備用のガラスではない通常のガラスを利用してしまうと、違反となりますので注意が必要です。
割れても飛散しない
網入りガラスの強度は通常のフロートガラスとあまり違いがなく、台風による強風や火災等の災害、物がぶつかるなどの強い衝撃を受けると簡単に割れてしまいます。
しかし、網入りガラスの場合はガラス内に封入されたワイヤーにより、割れたガラスの破片が固定され、割れ落ちたり大きく飛び散らないようになっている為、ガラス片が刺さり大怪我をする等の二次被害を防止する事が出来ます。
窓ガラスは、お子様が誤って割ってしまうというケースも多く、万一に備えて網入りガラスにしておくとご安心頂けるかと思います。
交換・設置の費用が安い
防火設備として認められているガラスには、熱処理を施して作られる「耐熱強化ガラス」や防火ガラスを使った「ペアガラス」等、網入りガラス以外にも種類があります。
その中でも、網入りガラスは従来から広く愛用されており、交換や設置の費用も比較的安価です。
耐熱強化ガラスやペアガラスは網が封入されていないので視界がクリアであり、安全性や省エネ性も従来の網入りガラスよりも優れている等、防火効果以外に様々なメリットがありますが、そのぶん費用も高額になってしまいます。
網入りガラスのデメリット
自然破損が起こりやすい
知らない間にヒビが入っていたり、気が付いたら割れていた等、原因不明の破損が多いのも網入りガラスの特徴です。
これは、網入りガラスの強度に問題があるのではなく自然破損現象であり、その殆どが「熱割れ」もしくは「錆割れ」によるものです。
衝撃や圧力によるガラスの割れは、力のかかった部分を中心に蜘蛛の巣のような放射線状のヒビが無数に入りますが、自然破損の場合はガラスの隅から一本だけヒビが入るというような割れ方をする為、見分けやすいです。
どちらも主な原因は経年劣化によるものですが、網入りガラスはガラスの内部にワイヤーを封入している構造上、通常の透明ガラスに比べて自然破損が起きやすくなっています。
現在の網入りガラスは、防火地域や準防火地域としての使用が可能であり、熱割れや錆割れのリスクがない網無しの防火ガラスも各メーカーから発売されている為、防火設備用ガラスの設置をお考えならそちらのガラスもご検討ください。
熱割れ
ガラスには種類ごとに異なる耐熱温度が設定されており、その範囲を超える熱が加わると「熱割れ」と呼ばれるひび割れを引き起こしてしまいます。
ガラスは暖まると膨張してしまう性質を持っている為、サッシ等で隠れて日が当たらない部分と、日光が当たり膨張した部分との間に生まれる膨張率の差が熱割れの主な原因となっています。
特に網入りガラスの場合は、中に入っているワイヤー(金網)の温度がガラスよりも上がりやすく、太陽等の熱で温められたワイヤーの伸び率にガラスが耐えられなくなってしまう事で、通常のガラスよりも熱割れが発生しやすくなっています。
太陽の熱以外にも、室外機の熱風やストーブ・コンロの放射熱が直接当たる等、ガラスへの局部的な加熱にも気を付ける必要があります。
また、夏場に日光が当たり続けた窓ガラスと、その傍にある家具や遮光用等の厚手のカーテン・ブラインドとの間隔が狭すぎると、そこに熱が溜まって高温になってしまいワイヤーが伸びやすくなってしまう事がある為、ガラス周辺のものにも注意が必要です。
ガラスには、結露防止フィルムや断熱フィルム、遮熱フィルム、飛散防止フィルム等、お手軽に様々な機能をガラスに追加できる「フィルム」が存在しています。
しかし、網入りガラスにガラスフィルムを貼ると、日光の当たり具合にもよりますがガラスに熱が溜まりやすくなり熱割れしやすくなる為、オススメ致しません。
なお、網入りガラスは10年~15年程経つと強度が弱まり、通常なら耐えられる熱でもワイヤーの伸びにガラスが耐えられなくなる事で熱割れが起こる事があり、基本的に窓の網入りガラスの熱割れの原因は経年劣化によるものであると言われています。
錆割れ
「錆割れ」は、文字通り鉄錆が原因で起こるヒビ割れです。と言っても、ガラス面に接している家具等の鉄が錆びていたとしても、ガラス自体には何の影響もありません。
これは、網入りガラス・線入りガラスの様にワイヤーが封入されたガラス特有の現象であり、内部のワイヤーが何らかの影響で錆る事で起こります。
錆は放置すれば進行して増殖する為、錆びる前の状態より網入りガラス全体の体積が増えてしまいます。
増えた錆の体積の分だけガラス部分は圧迫され、じわじわと押し拡げられていき、ガラスの強度は徐々に低下します。
強度が低下した網入りガラスは、熱や風圧が加わると簡単にヒビ割れを起こしてしまいます。
網入りガラスの切断面は、ワイヤーの鉄部分が空気中に露出しています。その為、雨や結露等の水滴がサッシや窓枠に入り込む事が避けられない構造的になっています。錆割れする部分も必然的に、窓ガラスとサッシが触れている端の方から進行するケースが殆どです。
また、結露等の水分で固まった埃が窓サッシに侵入した水分や湿気の逃げ道となっている穴を塞いでしまう事により、窓枠内に湿度が溜まりワイヤーが錆びる原因になってしまう事がある為、窓のレール部分等の掃除を定期的に行う事は鉄錆を防ぎ窓ガラスを長持ちさせる事に繋がります。
この様に突然割れた窓ガラスは、交換の際に火災保険等の保険が適用される場合がございます。
また、賃貸物件にお住まいの場合、その他の設備の経年劣化と同じように基本的には入居者側に責任はありません。修理をする義務は大家さん等の貸主側にありますので、こちらに不備がない事をしっかりと伝えれば、殆どの場合は修理費用を負担してくれます。
ガラスの状態が悪くなればなるほど、当然ガラス自体の強度は落ちてしまいますし、そのまま放置しているとヒビがガラスの端まで伸び続け、ヒビの数が増えてしまいます。
ひび割れくらいなら使う分には支障がないとお考えの方も多く居られますが、タイミング悪く空き巣に入られたり、台風が来て割れてしまい室内に暴風が入ってきてしまう等の事故に繋がりかねません。
また賃貸物件の場合、物件の不具合は貸主に報告する義務があり、割れをそのまま放置していた為に起こった事故であれば、不具合を放置した入居者側に過失があるとも言われかねません。このような被害を防ぐ為にも、出来るだけお早めに修理・交換をご検討ください。
視界が悪い
網入りガラスは内部にワイヤーが入っている為、ガラス越しに見た景色がワイヤーによって網模様になってしまい、視界の邪魔になってしまいます。
窓の視界のクリアさによって、室内の開放感は大きく変化します。
普段から網入りガラスを使用されている方はあまり気にならないかもしれませんが、網入りガラスから網のない通常の透明ガラスに交換すると、その開放感の違いに驚かれるのではないかと思います。
なお、透明ガラスに交換したいけど、設置場所が防火地域・準防火地域として指定されているという場合には、網無しの防火ガラスをオススメしています。
網入りガラスに防犯性能はない
網入りガラスは、防火目的で製造されたガラスです。
ガラスの中にワイヤーが入っているので、防犯にも適しているように思われがちですが、実は防犯性は殆ど期待出来ません。
ガラス自体の強度は、通常のフロートガラスとあまり変わらず、ガラスを割ってしまえばワイヤーは後から簡単に切断する事が出来ますし、引きちぎる事さえ難しくありません。
また、このワイヤーにはガラスの割れ落ちや飛び散りを防止する効果があり、ガラスが割れた際の破壊音もワイヤーによって吸収されてしまいます。その為、泥棒にとっては割っても音が小さいので、目立たず室内に侵入されてしまいます。
網入りガラスは、あくまでも防火目的やガラスの飛散を防ぐ為のものです。防犯効果は無いものとして割り切るのが良いでしょう。
もし防火地域・準防火地域に使用可能なガラスに防犯効果も持たせたいのであれば、防犯用合わせガラスやペアガラスを採用される事をオススメします。
網入りガラスの使用箇所
網入りガラスの特徴は何といっても高い防火性能です。
網入りガラスには、ガラスの中に封入されたワイヤーによって割れたガラスの破片を固定する事で、ガラスが割れた時にガラス片の飛散や割れ落ち、火災時の炎や火の粉の侵入を遮断し開口部からの燃え広がりを防いでくれる効果があります。
その為、消防法によって定められている防火地域・準防火地域の窓には網入りガラスの設置が義務付けられています。また、マンションやビルの高層階や、火を取り扱う飲食店、ガソリンスタンド等の、火災時に延焼の可能性が高くなる部分の開口部にもよく利用されています。
網入りガラスはワイヤーの配置により、ヒシワイヤ、クロスワイヤ、プロテックスの3タイプに分かれています。
その内、防火設備として認定されているのは、ヒシワイヤとクロスワイヤの2タイプになります。プロテックスは、主に火災時の煙をガードする為の防煙垂れ壁に利用されています。
防煙垂れ壁とは
防煙垂れ壁とは天井から50㎝以上の長さで、暖簾の様に垂れ下げた状態で設置されています。高い場所へと向かう性質がある煙の流れを妨げる役割を担っている設備です。
ショッピングセンターの売場等、商業施設や大きな工場やビルの廊下等、床面積の広い場所でよく利用されています。
なお、プロテックスはワイヤーが作り出す模様が間隔の広いストライプ模様になっている為、他のタイプの網入りガラスに比べて意外と視覚がスッキリして見えるので、天井からガラスが垂れ下がっていてもあまり気になりません。
ガラス屋ミーアでは、ヒシワイヤ・クロスワイヤ・プロテックスの網入りガラスを取り扱っております。
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