すりガラスについて
すりガラスとは
すりガラス(磨りガラス)とは、板ガラスの片面に細かいこすり傷をつけてツヤを消し、不透明に加工したもので、表面は乳白色であり基本的にさらさらと滑らかな触り心地をしています。
白く曇っている見た目から「曇りガラス」とも呼ばれ、その他にも「すり板ガラス」や「つや消しガラス」など色々な別名があります。
窓以外にもコップや家の中の間仕切りや家具など、様々な場所で利用されています。
厚みの種類は透明ガラス同樣に豊富で、2mm、3mm、4mm、5mm、6mm、8mm、10mm、12mm、15mm、19mmの10種類が存在します。
透明度の高い一般的な透明ガラスと乳白色で不透明な磨りガラスでは、磨りガラスの方が透過率も低いように思われがちですが、実際には同じ透過率です。
なお、透過率または透過度とはガラスに入った光がどれくらい通り抜けるかを表す割合であり、透過率が高い程、光を良く通すガラスといえます。
製造方法は、透明ガラスの片面を金剛砂・けい砂などの研磨剤を用いて擦る方法と、薬品でエッチング(または食刻、化学薬品などの腐食作用を利用した塑形・表面加工の技法)する方法があります。
なお、研磨方法は金属ブラシを用いたり研磨材を加圧空気で吹き付ける(サンドブラスト)、回転板につけて処理するなど様々です。
また、透明ガラス同樣、ガラスカッターを使えば簡単に切断する事が出来る為、DIYや日曜大工においても扱いやすいガラスです。
磨りガラスは、片面がザラザラしていて、もう片面はツルツルしています。ザラザラした面からカットすると刃先が動いてしまい、真っ直ぐに切ることが難しくなってしまいます。
その為、すりガラスを切断する時はツルツルした面からカットするようにしてください。
ガラスの切り方は、ガラスカッターで切り込みを入れた後、手で折るだけです。
耐熱温度も透明ガラスと同じで、110℃となっています。沸騰したお湯がかかってしまっても割れない温度ではありますが、やはり急激に冷やしたり暖めたりするような温度変化を与えると割れてしまいます。
なお、磨りガラスには表面に細かい傷が付いている為、強化ガラスに加工しようとすると残念ながら割れてしまいます。
つまり、一枚のガラスで磨りガラスと強化ガラスの二つの効果を得る事は出来ないという事です。
すりガラスのメリット
目隠しになる
乳白色で不透明に加工されている磨りガラスは、透き通っておらず、ガラスを透かした向こう側が見えないようなっています。
その為、視線を遮り、ガラス越しに覗かれてしまう心配はありません。
一階の部屋や道路に面した部屋等、外からの視線が気になる部屋の窓、オフィスのパーテーション(間仕切り)等、主に透明では困る(プライバシーを守りたい)場所に利用されています。
目隠しフィルム
目隠しの為にだけ使おうとしている方やその他のデメリットが気になるという方には、目隠しの為にガラスフィルムがオススメです。
ガラス屋ミーアでの磨りガラス交換は、17,600円(税込)~ですが、磨りガラス風の目隠しシートであれば通販やホームセンター等で、1,000円~2,000円程の料金で手軽に購入する事が出来て費用を抑える事が可能です。
ただ、ご自身でフィルムを貼るのは意外と難しいと感じる方も多く、綺麗に仕上げられるかどうかは腕次第となっています。上手く貼る事が出来なかった場合は、シワになったり気泡や埃が入る等、見た目が悪くなってしまいます。
その為、自分でフォルムを貼り付けるのが不安であったり、面倒、フィルムが剥がれてしまった場合や経年劣化による張り替えが手間だと感じる方には不向きと言えるかもしれません。
なお、ガラスの種類によってはフィルムシートが貼り付けられないものや、熱割れを起こしやすくなってしまう事があるガラスもあるのでご注意ください。
柔らかい日差し
磨りガラスには、強すぎる直射日光を和らげる効果があります。
一般的な透明ガラスを採用した窓では、日差しが強すぎると感じる日中などでは、カーテンを閉める事で明るさを調節するかと思います。しかし、それではカーテンの影が出来てしまいます。
透明ガラスと同等の透過率を持つすりガラスですが、日光が当たると光がガラス表面の微細な凹凸によって拡散され、ぼやけて柔らかい印象の光を取り込む事が出来ます。
つまり、磨りガラスには日光を遮る事なく、まぶし過ぎない快適な明るさを確保する事ができ、部屋に落ち着いた優しい雰囲気をもたらしてくれる効果があるのです。
磨りガラス一枚でも太陽の光を柔らかく均一に通し、外からの視線も遮ってくれる為、光を100%遮断する目的で無ければカーテンをする必要はありません。
デザインが豊富
磨りガラスは、加工しない部分にマスキングを行うことで加工部分と非加工部分による模様を多彩に再現する事が出来ます。
その為、デザインが豊富でインテリアとして楽しめるという特徴を持っています。
透明に近い部分から徐々に曇り度合いが濃くなっていくグラデーションタイプのものや、繊細で美しい模様が描かれているもの等があり、前者は主に店舗のガラス壁やパーテーション、後者は和室のガラス障子や納屋の引き戸等で良く利用されています。
デザイン性の高い磨りガラスは、店舗や住宅をよりお洒落に演出する事が出来ます。
すりガラスのデメリット
水に濡れると透ける
目隠し効果に大きな利点を持つ磨りガラスですが、すり加工された面が水で濡れると透明度が増し、透けてしまうという特徴があります。
その為、目隠し効果があるからといって浴室やトイレ等の水回り、その他水に濡れやすい場所での利用には不向きです。
なお、水に濡れると透明度が上がるのは、ガラスの表面に水滴が付着する事で光の拡散が抑えられるからです。
もし、浴室などの水回りに磨りガラスを使用したいという場合には、フロストガラスがオススメです。
フロストガラスは、見た目は磨りガラスとあまり変わりませんが、特殊な加工が施されている為、水に濡れても透ける事はありませんし、手垢などの汚れが付きにくく、メンテナンスも磨りガラスより楽です。
ただし、フロストガラスは磨りガラスよりも透け具合が多くなっており、ガラスの近くに置いてある物は、ある程度外側から見えてしまうので使用する場所には注意が必要です。
掃除が大変
表面に細かい凹凸を持つ磨りガラスは、手垢などの汚れが溜まりやすく、付着した汚れはなかなかに頑固で取り除きにくくなっています。
その為、油や水垢、カビ等が付く心配のあるお風呂場や洗面所やキッチン等では、磨りガラスの利用を避けた方が良いでしょう。
掃除の時は雑巾だけでなく重曹やブラシ等、目の細かい物を使うのがオススメです。
なお、よく似たガラスの中では、型板ガラスが最も汚れが落ちやすく、次点でフロストガラス、一番汚れが落ちにくいのが磨りガラスとなっております。
ぼかし山水ガラス(ぼかしガラス)について
ぼかし山水ガラスとは、ガラスの表面に山と水のある風景等の絵柄を、すり加工(サンドブラスト)によって描いた障子用ガラスとも言われる古風で趣あるガラスです。中でも雪見障子(ゆきみしょうじ)によく利用されています。
雪見障子とは、上半分は一般的な障子で下半分にはガラスがはめ込まれており、普通の障子の様に外の様子をながめる為に開ける必要がなく、障子を閉めたままでもガラス部分からいつでも景色が眺められるという、昔ながらの伝統的なガラスです。
なお、雪見障子と呼ばれている由縁は、冬に庭に積もる雪等を室内から楽しめるように作られた為です。
この雪見障子の下半分のガラス部分に、ぼかし山水ガラスを用いる事で窓辺をより華やかに演出する事が出来ます。また、ガラスに描かれた山の絵柄がそれぞれの季節に染まる様子も楽しむ事も出来ます。
伝統的な日本家屋の和室、玄関や仏壇間など、その他にも旅館や店舗等でもよく使われています。
また、そのデザイン性から、ドアや家具に採用する事でインテリアとしても楽しむ事が出来ます。また、グラデーションのみの絵柄のない障子ガラスも人気があります。
ぼかし山水ガラスは、その名の通りぼかし加工が施されていますので、視線を適度に遮る目隠し効果や柔らかく拡散された太陽の光を取り入れる事など、従来の磨りガラスの持っている特徴も持ち合わせています。
メリットと同時にデメリットも引き継いでいる為、すり加工された面が水で濡れると透明度が増しますし、汚れが付着すると取り除きにくく掃除が大変です。
磨りガラスと同じく浴室や台所での使用は避け、すり加工された面は室内側にする等、利用する際はご注意ください。
製造方法
ぼかし山水ガラスは、貼り合わせた紙に柿渋を染み込ませた渋紙を切り抜いて作られる型紙を用いて、ガラスに転写するサンドブラストの技法で作られます。
まるで版画のような、繊細な手仕事の技で作り出す美しいガラス作品です。
型紙の裏側には寒冷紗(かんれいしゃ)が施され、柿渋を染み込ませた型紙と寒冷紗が重なり合う構造となっています。
これによってデザイン性を保つ事が出来ます。
寒冷紗とは、主に麻や綿などを織り糸として用いた、粗くて硬い極めて薄く織り込まれた綿布であり、農業、建築、製本など様々な分野に置いて保護・補強するというような目的で使用されています。
より身近な物では、食品分野において出汁をとる際やチーズの製造工程での漉し布として用いられる事が挙げられるかと思います。
ぼかし山水ガラス用の型紙は、使い続ける内に痛んでしまい、数十回の使用で使えなくなってしまいます。
型紙が無くなってしまえば、もう同じ図案を作る事は出来ず、型紙を彫る事が出来る型彫師は日本国内でも数名程しか居られません。その為、昔ながらのぼかし山水ガラスの大半は廃盤となっており、非常に貴重な作品とされています。
定番のガラスと比較すると繊細な模様が入ったぼかし山水ガラスは料金が高額ですし、販売されている物は国内でも残り僅かで絵柄の種類も少なくなっています。
すりガラスの使用箇所
透明ガラスと同じく、窓や扉のガラスで利用される他、家具や雑貨のガラスの装飾など様々な用途で利用されています。
すりガラスは、主に室内のプライバシーを守る目隠しの用途で用いられる事が多いガラスです。
外の通りから家の中が見えてしまう様な窓ガラスだけでなく、オフィスのパーテーション(間仕切り)等でも同じ目的で利用され、周りの視線を遮る事でプライバシーが守られます。
また、細かい傷のある表面で光を散乱させ、眩しさを和らげた柔らかい光を取り入れる事が出来る為、和室など落ち着いた雰囲気の場所にも利用される事も多いです。
均一に光を採り入られるという特徴があるので、電球やライトテーブル、トレース台等にも利用されています。
デザイン性が高く、グラデーション加工されたものやお洒落な模様が描かれているものもある為、デザイン性のある磨りガラスをご採用いただくとご家庭のみならず、オフィスや店舗がお洒落な雰囲気になります。
なお、すりガラスはDIYで作る事が出来ます。
DIYをお考えなら「DIYで目隠し効果!すりガラスに加工する方法」をご覧ください。
磨りガラスが割れた、欠けた、ヒビが入った、DIYに失敗した、模様が入っていないガラスに替えたい等でお困りの時は、ガラス屋ミーアにお任せください。
出張料無料で現場へお伺いして、磨りガラスの交換にかかる費用のお見積りを致します。
窓・扉・家具などの磨りガラス交換をご希望なら、年中無休・最短即日施工のガラス屋ミーアまでお気軽にお問い合わせください。
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