真空ガラスの効果や価格、スペーシアの種類や性能などについて

真空ガラスとは

真空ガラスとは

真空ガラスは、フロートガラスとLow-Eガラスの間に中空層を設けて1セットとして扱うガラスのことです。

中空層は真空状態となっており、断熱性能が非常に高いという特徴があります。

構造は一般的な複層ガラス(ペアガラス)とほとんど変わりませんが、ガラス全体の厚みが半分程度なのに、断熱性は約2倍。

そのほかにも結露防止効果や紫外線カット効果、節電効果など、生活の質を向上させる性能が多く備わっています。

真空ガラスの基本構造

真空ガラスの構造

真空ガラスは2枚のガラスで構成されており、ガラスとガラスの間が真空状態の中空層となっているのが基本的な構造です。

スタンダードな真空ガラスは、室外側から「3mmのフロートガラス・0.2mmの真空層・3mmのLow-Eガラス」の順で組み立てられており、全体の厚さは6.2mmしかありません。

真空層の中には、マイクロスペーサーと呼ばれる小さな黒い粒状の部品が規則的に並んで入れられています。

マイクロスペーサーは中空層を真空状態にする際に、大気圧で圧迫されたガラスとガラスが接触しないように封入されており、中空層全体の幅を0.2mmに保つ効果もあります。

また、真空ガラスの右上には直径が15mm程度の保護キャップが取り付けられています。

この保護キャップは、真空ガラスを製造する際に開けられたガラスの穴を塞ぐために取り付けられたものです。

真空ガラスはガラス2枚を組み立てたあとにガラスに小さな穴を開け、中間層の空気を吸引して真空状態にすることで製造されているため、保護キャップがあることは真空ガラスである証とも言えるでしょう。

マイクロスペーサーについて

真空ガラスのマイクロスペーサー拡大イメージ

マイクロスペーサーは真空ガラスの真空層内に配置されている、小さな黒い粒状をした金属製の部品です。

縦横20mm間隔で均等に並んでおり、0.2mmと極めて小さいため離れて見るとほとんど見えませんが、近づくと認識できるサイズです。

また、マイクロスペーサーは真空状態を保つためにガラスとガラスの間を支えている必要不可欠な部品なのですが、熱伝導を起こす部位でもあります。

ハイグレードな真空ガラスではマイクロスペーサーを極限まで減らすことで、熱伝導率をより低下させた商品もございます。

マイクロスペーサーが落下していた場合、中空層が真空状態でなくなり空気が入り込んでいる可能性が高いため、交換時期となります。

保護キャップについて

真空ガラスの保護キャップは、製造過程でガラスに開けられた穴を塞ぐためのパーツです。

大きさは直径約15mmでガラスの右上に位置しており、人によっては気になるかもしれません。

保護キャップは中空層の空気を抜いて真空状態にするために開けた穴を封印・保護するための部品ですので、製品の品質を保持するために必要不可欠となります。

施工後は絶対に取り外さないでください。

保護キャップを故意に外した場合は、メーカーや施工店などの保証対象外となります。

真空ガラスの真空層には、どんな効果があるの?

真空ガラスは飲み物を入れる魔法瓶と全く同じ原理・構造をしており、効果は魔法瓶が持つ保温力や保冷力の高さをイメージすると分かりやすいかと思います。

水筒やポットなどの魔法瓶に冷たい飲み物または熱い飲み物を入れたとき、真空層による断熱効果によって外の空気の温度が遮断され、飲み物の温度は長時間保たれます。

真空ガラスも魔法瓶と同様で、熱が伝わるのを防ぐ効果があるのです。

熱の伝わり方は「伝導」「対流」「輻射(放射)」の3種類。

真空ガラスの最大の特徴である真空層があることによって防ぐことができるのは伝導と対流で、輻射は以下でご紹介するLow-Eガラスの効果によって防ぎます。

真空ガラスに使われている「Low-Eガラス」とは?

Low-Eは英語の「Low Emissivity」の省略表記で、直訳すると意味は「低放射」です。

熱が伝わる方法の1つである「放射」が起きにくい性質を持ったガラスが、Low-Eガラスと呼ばれています。

ガラスの片側表面に酸化スズや銀といった低放射性能が高い特殊金属を薄くコーティングすることで、ガラスに対し放射による熱の伝達を起こさせにくくさせる効果を持たせています。

Low-E膜は熱となる赤外線を吸収・反射するため室温を快適に保ち、太陽光のうち明るさを担う可視光線は通すため採光性に優れており、ガラスの断熱・遮熱には最適なのです。

通常、Low-Eガラスは単体では使用せず、複層ガラス(ペアガラス)を構成するための材料として用いられることが一般的です。

Low-Eガラスが使われている複層ガラスは「Low-E複層ガラス」や「エコガラス」と呼ばれており、真空ガラスもLow-E複層ガラスの一種となります。

真空ガラスと複層ガラス(ペアガラス)との違い

複層ガラスは「ガラス2枚の間に中間層がある」ガラスのことでであり、真空ガラスも構造が同じであるため複層ガラスの一種に分類されています。

一般的な複層ガラスと真空ガラスの大きな違いは中間層にあり、通常の複層ガラスは中間層に乾燥した空気、またはアルゴンガスやクリプトンガスといった特殊なガスが封入されています。

真空ガラスの場合は中間層の空気が吸引されて真空状態になっているのですが、その真空率は極めて高く100万分の1気圧です。

真空状態では空気の対流や熱伝導が起きないため、一般の複層ガラスに比べると真空ガラスの断熱性は約2倍にもなるのです。

また、中間層の空間の幅にも違いがあります。

通常の複層ガラスは中間層が約6mmのため全体の厚さが12mmですが、真空ガラスの中間層は約0.2mmのため全体の厚さが6.2mmしかなく、ほぼ半分のサイズとなっています。(※複層ガラスに基本部材として用いられる、3mmフロートガラス2枚の使用を想定)

真空ガラスの効果・メリットについて

真空ガラスのメリット

真空ガラスには、快適な生活を送るうえで重要となる性能がいくつか備わっています。

ここでは真空ガラスを導入することで得られるメリットについて、詳しく解説いたします。

断熱性が高い

熱の伝わり方は「伝導」「対流」「輻射(放射)」の3種類がありますが、真空ガラスはこの3種類すべての熱の移動を防ぐ効果を持っています。

真空層の効果によって伝導と対流を、Low-Eの効果によって放射を抑えることができるのです。

熱の伝わり方「伝導・対流・放射」とは
伝導 物と物が触れている時に、接触面から熱が伝わる現象。
温かいものに手で触ると手が暖かくなる、冷たい床を素足で歩くと足が冷えてしまうといったように、高温部から低温部に熱が移動する現象は熱伝導によるものです。
熱伝導率は【W/m・K】で表され、数値が高いほど熱が伝わりやすいという事を示します。
【伝導の例】使い捨てカイロ、湯たんぽ、ホットカーペットなど
対流 空気や気体などの流体に温度差が生じた時に、熱が移動する現象。
寒い冬にエアコンをつけた時、暖かい空気は部屋の天井付近に上昇し、冷たい空気は床側へ移動するのは対流が起こっているからです。
流体は熱せられると膨張して密度が低くなるため軽くなり、上へ移動するという性質があります。
反対に、流体が冷やされると密度が高くなって重たくなり、下へと移動します。
真空状態だと流体の動きがなくなるため、対流現象が起きなくなります。
【対流の例】ファンヒーター、エアコン、ろうそくなど
放射 物質の熱が電磁波によって移動する現象。放射は輻射(ふくしゃ)とも呼ばれています。
赤外線などの電磁波は温度が高い物質から放出されており、熱源の熱は空気などを媒介せず対象物を直接温めます。
熱源となる物質の温度が高ければ高いほど、電磁波の波長が短くなり放射されるエネルギーは大きくなります。
太陽が放出している電磁波は太陽放射や日射と呼ばれていて、地表に届く太陽熱はすべて放射によるものです。
Low-Eガラスは特殊金属膜のコーティングが放射熱を反射する効果を持っていますので、放射による熱の移動を防ぐことができるのです。
【放射の例】太陽光の熱、電気ヒーター、電子レンジなど

熱貫流率でみる真空ガラスの断熱性の高さ

ガラスの種類別の熱貫流率の比較

物質の熱の伝えやすさを表す値として、「熱貫流率」というものがあります。

熱貫流率は室外側と室内側に温度差が1℃あるとき、1時間あたりにどれだけの量の熱が通過するのかを表すもので、熱貫流率の値が低いほど熱が移動しにくく断熱性に優れているということになります。

窓ガラスの熱貫流率は1枚フロートガラスでは6.0W/(㎡・K)、複層ガラスでは3.4W/(㎡・K)ですが、真空ガラスの場合は1.4W/(㎡・K)しかありません。

真空ガラスの熱貫流率はフロートガラスの4倍以上、一般的な複層ガラスの約2倍近く高いことが分かります。

また、真空ガラスの中でも超高断熱タイプであるスーパースペーシアの熱貫流率は0.65W/(㎡・K)、スペーシア21で0.8W/(㎡・K)となっています。

住宅の壁などに用いられる断熱材のグラスウールは、厚さ50mm製品での熱貫流率が0.7W/(㎡・K)ですので、壁の断熱材と匹敵するほどの断熱性能にもなるのです。

結露の発生を防止する

真空ガラスは結露を防止

真空ガラスは断熱性が高いため外気温が室温に影響しにくく、結露の発生を抑止する効果があります。

結露は室外と室内の温度差が大きいことで発生します。

暖かい空気は水分をたくさん含むことができますが、冷たい空気は水分を多く含むことができません。

室内で暖められた空気が冷たい窓ガラスで冷やされてしまうと、水分が凝縮され結露となり、水滴がガラス表面に付着してしまうのです。

結露はウロコ状やスジ状の水垢の原因となるため掃除が大変で、ジメジメと気持ちが悪く見た目も悪いです。

また、水滴が壁紙や窓枠やカーテンなどに触れることで、腐食したりカビやダニが発生したりする原因となります。

真空ガラスはガラス自体に結露防止性能があるため、掃除の手間を減らすことができ、アレルギーや喘息の対策にも効果的なのです。

防音・遮音効果が高い

真空ガラスは遮音・防音に優れている

真空ガラスは一般的な複層ガラス(ペアガラス)で起こる低音域共鳴透過現象がありません。

低音域共鳴透過現象は、特定の周波数を持った音が複層ガラスに触れたとき、中間層内の空気が振動することで2枚のガラスが共鳴現象を起こし、音が増幅して伝わってしまうことです。

そのため通常の複層ガラス(ペアガラス)は防音性・遮音性が低いのです。

真空ガラスの場合は中空層が真空になっていることから、ガラスから伝わる音をカットする効果あります。

遮音性能はJIS等級「T-2(30等級)」を取得しており、防音ガラスに近いレベルの防音効果が期待できるのです。

日射熱のカット効果がある

真空ガラスには熱の伝わりの1つである「放射」を防ぐLow-Eガラスが使用されていることから、夏場のジリジリとした不快な日差しの熱をカットする効果があります。

通常の窓ガラスに比べて室内に入る日射熱の量を大きく抑えるため、夏は冷房効果が高くなります。

また、日射熱はすべてブロックせず適度に取り込みますので、冬場は断熱性能との相乗効果で暖房が効きやすくなります。

日射熱のカット率の比較表
ガラスの種類 ガラスの厚さ 日射熱のカット率
1枚フロートガラス 3mm 12%
一般的な複層ガラス 12mm(中空層6mm) 21%
一般的な複層ガラス 18mm(中空層12mm) 21%
真空ガラス(スペーシア) 6.2mm 34%
真空ガラス(スペーシアクール) 6.2mm 51%

既存のサッシに取り付けができる

真空ガラスの厚さはスタンダードタイプで6.2mmと、通常の複層ガラスの12mmと比べると非常に薄いです。

そのため、現在お使いのサッシにも設置することができるのです。

一般的な複層ガラス(ペアガラス)を既存のサッシに取り付ける場合は、専用のアタッチメントが必要になります。

アタッチメントがあると窓枠が太くなりガラス部分を圧迫するため、見た目に影響が出ます。

真空ガラスは薄く既存のサッシに収まる厚さのため、お部屋の開放感は変わりません。

また、サッシ交換やアタッチメント取り付けなどの作業が発生しないため、サッシ等の部品代は発生せず、工事時間も短時間で済みます。

フロートガラスから真空ガラスに取り換える場合、工事時間は1枚あたり約30分で、引き違い窓2枚でも60分程度で作業を終えることができます。

光熱費を節約できる

真空ガラスには優れた断熱効果があることから、通常のフロートガラスに比べると室内の温度が外気温に影響されにくいです。

冷暖房負荷が低減されエアコンの効きが良くなると、効率的に室内の温度を調整することができます。

そのため、年間を通して冷暖房にかかる光熱費を抑えることができるのです。

1枚ガラスの窓が設置されている住宅と比較すると、冷暖房にかかる年間の光熱費が約40%もカットすることができます(※日本板硝子株式会社による算出)。

環境への負荷を低減できる

窓に真空ガラスが設置されているなど高断熱な住宅では、エアコンやヒーターなどの効きが良く室温の調節がしやすいです。

空調温度の設定を無理なく控えめにできるため、空調設備の稼働率を下げることができます。

エネルギーを無駄なく使うことができるとCO2やフロンなど温室効果ガスの排出量が低減されるため、地球環境保全の貢献にも繋がるのです。

真空ガラスのデメリット・注意点について

真空ガラスのデメリット

ここでは真空ガラスのデメリットや注意点について解説します。

真空ガラスは住宅の住みやすさを向上させる性能が複数あるため導入するメリットは多いのですが、デメリットもいくつかあります。

値段が高い

真空ガラスは特殊な技術で製造されているため、通常の1枚ガラスや複層ガラスと比較すると料金が高額です。

住宅向けの窓ガラスの中では単価が最も高いため、複数枚の窓を真空ガラスに交換する場合の費用はそれなりにかかります。

なお、真空ガラスは住宅の省エネ化・高断熱リフォーム向けの補助金制度の対象となっているため、募集要件に該当するなら補助金や助成金を利用できる可能性があります。

国・地方自治体から様々なタイプの補助金制度が公表されていますので、真空ガラスを新築住宅に設置する場合や既存住宅の高断熱リフォームに取り入れる場合など、条件に当てはまるのであれば利用されることをおすすめいたします。

サッシがアルミだと断熱効果が低い

アルミサッシは熱伝導率が高い

真空ガラスは厚さが6.2mmと薄いため、一般的な1枚ガラス用のサッシにそのまま取り付けることが可能となっています。

ですが、通常のサッシに真空ガラスを取り付けた場合、ガラス部分の断熱性は上がりますがサッシの断熱性は変化しません。

サッシ部分は熱の移動が起こるため室外の空気の冷たさは室内に伝達し、結露も発生してしまいます。

特にアルミサッシの場合は熱伝導率が非常に高いだけでなく気密性も低いため、真空ガラスを設置しても想像していたよりも効果が得られない可能性がございます。

真空ガラスは高断熱・高気密な樹脂製サッシとの併用がベストですが、サッシを取り換える場合は工事が大がかりで費用も高額となる点には注意が必要です。

真空ガラスを使った二重窓(内窓)への交換もおすすめ

サッシ自体の交換リフォームが難しい場合は、真空ガラスが構成部品として使われている二重窓(内窓)の導入がおすすめです。

二重窓(内窓)は、既存のアルミサッシの窓に窓枠ごともう1つ窓を取り付ける手法です。

真空ガラスとサッシすべての交換よりも低価格で、工事も短時間で終わります。

二重窓(内窓)のサッシ素材はオール樹脂もしくは樹脂とアルミの複合でできており、アルミサッシをカバーして取り付けることで高い断熱性を発揮します。

1枚ガラスの窓より重たい

真空ガラスは2枚のガラスで構成されているため、1枚フロートガラスよりも重量があります。

動かせないほど重たいわけではありませんが、慣れるまでは窓を開閉するときに違和感を覚える可能性がある点にご注意ください。

納期に時間がかかる

真空ガラスは基本的に受注生産です。

注文してから納品されるまで時間がかかってしまいますので、ガラスが破損した際の割れ替えなどでは応急処置で仮工事を行った後に本工事という流れとなります。

真空ガラスの「スペーシア」について

真空ガラスのスペーシアの紹介

「スペーシア」は世界で初めて作られた実用化された真空ガラスで、日本板硝子株式会社が製造販売を行っています。

今まで使われていたガラスのサッシをそのまま利用して窓の高断熱化ができることから需要が高く、日本国内で真空ガラスと言えばスペーシアといっても過言ではありません。

真空ガラス「スペーシア」の歴史と実用化までの道のり

真空ガラスの歴史は古く、1913年には構想が公表されており1921年にはアメリカで特許が成立していました。

しかし、当時の技術ではガラスが真空状態の圧力に耐えることができず、設計自体の困難さに加えて量産化も難しいことからなかなか実用化には至りませんでした。

ガラスが安定して真空状態を保つための条件、熱の流れや温度差による応力など研究が進み、発案から76年後となる1989年に製作が成功し、約700枚の真空ガラスがサンプルとして製造されます。

その後、日本板硝子株式会社がシドニー大学と提携して開発研究を行い、1997年に世界で初めて真空ガラスが「スペーシア」として商品化されました。

その後、改良を重ねてグレードの変更や新製品の発売を行うことでシェア率を伸ばし、脱炭素化の流れを受けた現在では更に需要が高まっているのです。

真空ガラス「スペーシア」のラインナップをご紹介

スペーシアはスタンダードタイプをベースに部材の追加変更を行うことで、複数のラインナップが揃えられています。

防音・遮音に特化したタイプや遮熱タイプ、壁と同等の断熱性を持った超高断熱タイプなどバリエーションがございますので、生活の悩みや希望に合わせた商品選びが可能となっています。

なお、スペーシアはLow-Eガラスを使用しており、エコガラスの基準を満たしているため、すべてエコガラスに分類されています。

真空ガラス・スペーシア

基本の真空ガラス。

フロートガラスとLow-Eガラスで構成されています。

上記でご紹介したように、優れた断熱性があるほか、結露の軽減や防音・遮音、節電や省エネなどの効果があります。

スペーシアの熱貫流率は1.4W/(㎡・K)で、1枚ガラス6.0W/(㎡・K)、複層ガラス3.4W/(㎡・K)と比較すると断熱性能が非常に高いことが分かります。

また、フロートガラス以外にもすり板ガラスや網入りガラス、厚さが異なるガラスが使用されたスペーシアもあるため、人通りが多い道に面しためどや防火性能が要求される窓など、設置する窓の場所に合わせて選ぶことができます。

厚さは6.2~10.2mmで、6.2mmのスペーシアは既存のサッシにそのまま取り付けが可能です。

真空ガラス・スペーシアクール

真空ガラスが持つ断熱性をベースに、遮熱性能をプラス。

スペーシアクールに採用されたLow-E膜は遮熱性に優れており、太陽熱のジリジリとした不快な暑さを軽減する効果があります。

1枚フロートガラスが約88%の日射熱を室内に通過させるのに対し、スペーシアクールは約49%しか通しません。

太陽の光が当たりやすく室温が上がりやすいお部屋や、西日対策が必要な窓にぴったりの真空ガラスです。

熱貫流率は1.0W/(㎡・K)で1枚ガラスに比べて冷暖房費を約45%カット、厚さは6.2~10.2mmとなっています。

真空ガラス・スーパースペーシア

2023年時点で、スペーシアシリーズの中で最高ランクの断熱性能を持つ真空ガラスです。

スタンダードタイプのスペーシアと比較すると、断熱性は約2倍。

熱貫流率は0.65W/(㎡・K)と非常に優秀で、住宅の壁に使われる断熱材であるグラスウールノ0.7W/(㎡・K)を超える断熱性があるのです。(※グラスウール10kg50mmの壁を想定)

スーパースペーシアが持つ超高断熱性能は、マイクロスペーサーの配置が深く関係しています。

マイクロスペーサーは中空層の真空状態を保持するために配置された金属製のパーツで、真空ガラスに必要不可欠ですが熱伝導を起こしてしまいます。

通常のスペーシアではマイクロスペーサーが20mm間隔に配置されていましたが、スーパースペーシアでは配置を変更し、間隔が28mmまで広がりました。

マイクロスペーサーの個数を半分まで減らすことによって、熱伝導も半分になっています。

スーパースペーシアに使用されるガラスは4mmのため、真空層の幅を合わせた全体の厚さが8.2~11.0mmとなっています。

そのため、築年数が古い住宅などに用いられている溝幅9.0~11.0mmのサッシには取り付けることができません。

合わせ真空ガラス・スペーシア静

スペーシア静(しずか)は、断熱性の高いスペーシアに遮音性がプラスされています。

フロートガラスとスペーシアの間に厚さ0.5mmの特殊中間膜が挟まれており、ガラスを合計3枚使ったハイグレードな真空ガラスです。

中間膜は遮音性が高く、スペーシア静の遮音性能はJIS等級「T-3(35等級)」。

T-3は35デシベル相当の音を低減させる効果があるということを示しています。

熱貫流率は1.4W/(㎡・K)でスタンダードタイプのスペーシアと同等で、厚さは9.2~11.7mmとなっています。

アルミサッシは気密性が低く音が出入りしやいため、スペーシア静の遮音性を十分発揮させるためには、高気密で遮音性の高いサッシと組み合わせて使用されることをおすすめいたします。

また、遮音性を十分発揮させるために、アタッチメントの設定はされていません。

合わせ真空ガラス・スペーシア(クール+静)

断熱性能だけでなく、遮熱性と遮音性も備わっているハイグレードな真空ガラスです。

スペーシア静を構成している真空ガラスのLow-E膜を高遮熱タイプに変更しています。

熱貫流率はスペーシアやスペーシアクールと同じ1.0W/(㎡・K)、遮音性はスペーシア静が持つJIS等級「T-3(35等級)」となっています。

ガラス3枚を使用しており真空層の幅もあるため、厚さは9.2~11.7mmあります。

スペーシア静と同じでアタッチメントの設定はなく、より高い遮音性を求めるのであれば高気密サッシとの併用がおすすめとなります。

複層真空ガラス・スペーシア21(断熱or遮熱)

スペーシア21は、真空ガラスのスペーシアとLow-Eガラスで構成された複層ガラスで、非常に高い断熱性能を持っています。

スペーシアとLow-Eガラスの間にある中空層には熱伝導率が低いアルゴンガスが封入されており、北海道や東北地方など寒冷地に建てられている住宅の窓に使用できるレベルの超高断熱性能が実現されました。

断熱タイプはクリアのみですが、遮熱タイプは2種類のカラーパターンがあり、クリアとグリーンSから選ぶことができます。

熱貫流率はスペーシア21断熱タイプで0.84W/(㎡・K)。

遮熱タイプはクリアが0.69W/(㎡・K)でグリーンSが0.75W/(㎡・K)となっています。

また、日射熱のカット率も高く、スペーシア21遮熱クリアなら54%、断熱クリアなら42%もの日射をブロックすることができます。

複層ガラスは中間層の幅が9~12mmと大きいためガラス全体の厚さは18.2~21.2mmとなっており、導入するには専用のサッシが必要となります。

「スペーシア」シリーズのメーカー参考価格

ここでは真空ガラス「スペーシアシリーズ」の参考販売価格を紹介いたします。

以下で掲載している真空ガラス「スペーシア」シリーズの価格は、2023年6月時点における日本板硝子株式会社の販売参考価格であり、当店の販売価格ではございません。

掲載価格はガラス本体代金のみとなります。

交換取り付けを行う際はガラス本体代金の他に、部品代や工事費や出張費、古い窓ガラスを処分する場合は処分費用なども発生します。

現場の状況によって諸費用の金額が異なりますので、費用の詳細は現地での調査が必要です。

スペーシアシリーズの販売参考価格
種類 ガラスの厚さ/構成 1㎡あたりの価格 1枚のガラス面積0.3㎡以下の場合
スペーシア(透明) 6.2mm品
Low-Eガラス3mm+Low-E膜+真空層0.2mm+フロート板ガラス3mm
49,500円 23,100円
スペーシア(ワイヤータイプ) 10mm品
網入りガラス6.8mm+Low-E膜+真空層0.2mm+フロート板ガラス3mm
73,700円 33,000円
スペーシア クール 6.2mm品
Low-Eガラス3mm+遮熱高断熱Low-E膜+真空層0.2mm+フロート板ガラス3mm
52,800円 24,200円
スペーシア静 9.2mm品
フロート板ガラス2.5mm+真空層0.2mm+Low-Eガラス3mm+特殊中間膜0.5mm+フロート板ガラス3mm
82,500円 37,400円
スペーシア(クール+静) 9.2mm品
フロート板ガラス2.5mm+真空層0.2mm+Low-Eガラス3mm+特殊中間膜0.5mm+フロート板ガラス3mm
88,000円 39,600円
スペーシア21(断熱クリアタイプ) 18.2mm品
スペーシア(6.2mm品)+アルゴンガス層9mm+Low-E膜+Low-Eガラス3mm
70,400円 31,900円
スーパースペーシア 8.2mm品
Low-Eガラス4mm+遮熱高断熱Low-E膜+真空層0.2mm+フロート板ガラス4mm
60,500円 27,500円

真空ガラスの交換はガラス屋ミーア

真空ガラスの効果や性能、メリット・デメリットなど、真空ガラスについてご紹介しました。

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