ペアガラスの結露の原因と対処法

ペアガラスなのに結露

ペアガラスでも、結露は起きるの?

ペアガラス(複層ガラス)は、通常の1枚フロートガラスの窓に比べて断熱性が高く、結露の防止効果が期待できる仕組みになっています。

ですが、室外から伝わる冷気を完全にブロックできるわけではありません。

室内外の温度差が大きい場合や湿度が高い状況などでは、ペアガラスでも結露は発生してしまうのです。

今回は、ペアガラスに結露が発生する原因と対策方法、内部結露が起きた時の対応について詳しくご紹介いたします。

ペアガラス(複層ガラス)とは?

ペアガラスの仕組み

複層ガラスは、ガラスとガラスの間に空間(中空層)をもたせた、2枚1組または3枚1組で扱う窓ガラスのことを指します。

中空層にはアルゴンガスや乾燥空気などを封入し密封されているか、真空状態となっています。

空気は冷たい空気は下へ、暖かい空気は上へ移動する性質を持っているのですが、特殊ガスで満たされていたり真空状態となったりしている中空層を設けることによって空気の対流が抑えられ、室内と室外で熱が伝達しにくくなり、高い断熱効果や遮熱効果を発揮することができるのです。

また、冷暖房の効率アップによる光熱費の削減や省エネ効果、結露の防止効果、遮音効果などたくさんのメリットがあることから、近年ではほぼすべての新築一戸建てで採用されており、1枚ガラスのアルミサッシをお使いの家をリフォームする際にもペアガラスは取り入れられることが多くなっています。

ペアガラスの中空層は幅が大きいほど効果が高く、6mmが標準タイプで、高機能タイプでは幅が12mmの製品もございます。

ペアガラスと複層ガラスの違いとは?

「ペアガラス」は2枚のガラスを1つのセットとして使用する窓ガラスの一般名として浸透していますが、実は大手ガラスメーカーのAGC(旧旭硝子)の登録商標です。

その他の有名メーカーの複層ガラスは、日本板硝子では「ペアマルチ」、セントラル硝子では「ペアレックス」という名称で販売されています。

ペアガラスの結露を放置すると、どうなるの?

長期間にわたってペアガラスの内部結露を放置してしまうと、カビの発生やダニの繁殖といったトラブルにつながってしまいます。

もちろん1枚ガラスの窓の結露でも同じトラブルは起きますが、ペアガラスの中空層で発生したカビやダニはお手入れや掃除などによって自分で取り除くことは不可能なので、非常に厄介です。

カビもダニも繁殖スピードが速く、湿度や温度などの条件が揃うと驚異的な速度で中空層内を埋めることもあるため、見た目が悪いだけでなく衛生的にもいい状態とは言えません。

そのため、ペアガラスの中空層に結露を発見したらできるだけ早急な交換対応をおすすめいたします。

ペアガラスに結露・内部結露が発生する原因とは

結露防止効果のあるペアガラス(複層ガラス)でも、状況によっては結露が起きてしまいます。

以下で結露の発生原因を詳しく解説します。

そもそも結露はなぜ起きてしまうのか

ペアガラスに結露が発生する原因

空気は温度が高いほど、たくさんの水蒸気を含むことができる性質を持っています。

暖かい空気が冷えた窓ガラスなどに触れて温度が下がると、含むことができなくなった分の水蒸気が凝縮して水となり、「結露」となるのです。

結露は空気の温度差が大きいほど発生しやすく、家の中では壁やドアよりも薄い「窓」がもっとも結露ができやすいポイントと言えるでしょう。

特に現在でも多くの住宅で使われている1枚フロートガラスの窓は断熱性能が非常に低く、外の冷気が窓ガラスを通して室内の空気を冷やしてしまいます。

ヒーターやエアコンで室内の空気を暖めると、窓ガラスから伝わる冷気との温度差がより大きくなるため結露が起き、たくさんの水滴が窓についてしまうのです。

ペアガラスの室内側のガラス面に結露ができる原因

まずは、ペアガラスの中空層ではなく、室内側のガラスの表面に結露が起きる原因についての解説です。

基本的には1枚ガラス用の窓と結露が起きる原因はほぼ同じとなります。

ペアガラスに結露が起こる原因①サッシにアルミが使われている

サッシの熱伝導率について

ペアガラスを取り付けるサッシがアルミ素材だった場合、サッシ部分の結露を防ぐことはできません。

アルミサッシは強度があり加工しやすく安価ということもあり、アルミサッシを使った1枚ガラスの窓は多くの住宅で取り入れられてきました。

しかし、熱の伝導率が高く室外の冷気を室内に通しやすい性質を持っていることから結露が起きやすく足元も冷えやすいため、1枚ガラスの窓からペアガラスにリフォームされる方が増えています。

リフォームの際に、もともとついている1枚ガラス用のアルミサッシにアタッチメントフレームを取り付けてペアガラスを設置するという工事方法があります。

アタッチメントフレームを使ったペアガラスの取り付けは、サッシ自体を交換しないため工事期間や費用を抑えてお手軽にペアガラスを利用できるようになるというメリットがありますが、サッシは熱伝導率の高いアルミのままなので、そこから冷気が室内へ入り込み結露が起きてしまうのです。

ペアガラスに結露が起こる原因②室内と室外で温度差が大きい

ペアガラスを使っていても、室内と室外で温度差が大きい場合では結露が発生することがあります。

1枚ガラスの窓に比べると中空層があるペアガラスは空気の対流が起こりにくく熱が伝わりにくいのですが、完全に冷気を遮断できるわけではありません。

室内と室外で温度の差が大きすぎた場合は、室内側のガラスまで冷気が伝わってしまうため、空気中の水分が凝縮して水滴となり結露が起きてしまうのです。

ペアガラスに結露が起こる原因③湿度が高い

冬は湿度が下がり乾燥しやすい時期であり、防寒のためにヒーターやエアコンなどを使うとさらにお部屋の空気は乾燥してしまいます。

鼻やのどの粘膜保護・風邪やインフルエンザの対策のため、加湿器でお部屋の湿度を調節されるご家庭も多いのではないでしょうか。

暖房器具で暖められた空気にたくさんの水分が含まれると湿度が高くなり過ごしやすくなりますが、暖かな空気が窓ガラスに触れると結露が発生してしまうのです。

ペアガラスに結露が起こる原因④換気が足りていない

上記で湿度が高いとペアガラスでも結露が発生するとご説明しましたが、湿度を逃がすためには定期的な換気が必要です。

換気によって空気の入れ替えが行われていないと、水分を多く含んだ暖かな空気がお部屋にたまってしまい、窓ガラスなど冷えた物に触れることで結露が起きてしまいます。

ペアガラスに内部結露ができる原因

ペアガラスのガラスとガラスの間、中空層に結露ができることを「内部結露」と呼びます。

内部結露が起きている場合は、ペアガラスとしての機能が損なわれた状態ですので、メーカーによる修理対応や業者を利用した交換などの対処が必要です。

ペアガラスに結露が起こる原因①中空層の密封性が保たれていない

ペアガラス最大の特徴である、中空層。

中空層は熱の伝達を防止する役割があり、ガラスとガラスの間には乾燥空気やアルゴンガスが入っているか、真空状態です。

何らかの原因でこの中空層に水分を含んだ外の空気が入りこむと、内部結露が発生し断熱効果や結露防止効果が一気に下がってしまいます。

中空層の密封性が保たれなくなる主な原因は、破損と劣化によるものです。

破損は単純に物がぶつかってガラスが割れて穴が開いてしまうほか、熱割れのケースもあります。

熱割れは冷えたガラスの一部分だけが暖められ、低温部分と高温部分の温度差が大きくなった時に生じる現象です。

よくある熱割れの原因としては、ペアガラス付近にカーテンや家具などが密着した状態で設置されておりその部分だけ日光を吸収してしまった、室外機や暖房の熱がガラスの一部にあたっている、結露対策に貼った市販のシート(フィルム)が使っているペアガラスで使用不可のものだった、などが挙げられます。

劣化によるペアガラスの結露では、ガラスとスペーサーの隙間を埋めるシーリング材(コーキング材)の不具合が原因となることがほとんどです。

シーリング材は有機素材ですので長期的に使用していると劣化し、剥離・ひび割れ・破断などの症状が現れます。

シーリング部分に隙間や穴ができてしまうことで中空層内密封状態が保てなくなり、特殊ガスが流出したり真空状態でなくなったりすることによって、内部結露が起きてしまうのです。

ペアガラスに結露が起こる原因②耐用年数を超えている

ペアガラスの耐用年数について

ペアガラス(複層ガラス)の耐用年数は、約10~15年と言われています。

ガラスは割れるまで半永久的に使用できるものですが、ペアガラスの場合は中空層が機能しなくなった時が寿命と言えるでしょう。

個体差や使用状況や設置場所によって劣化スピードは変わり、間違った使い方をしていない限り基本的に10年は問題なく使用できます。

一般的に寿命とされる10~15年を目安に点検やメンテナンスを行い、ペアガラスの中空層に結露やカビができていないかをチェックして異常が見つかれば早めに交換しましょう。

なお、各メーカーはペアガラスの品質保証を設けており、ほとんどの製品で保証期間が10年に設定されています。

ペアガラスが使用期間10年未満で内部結露を起こした場合は、メーカーの保証によって修理や交換の対象になる場合がございますので、トラブルの際は保証内容を確認しメーカーに連絡されることをおすすめします。

ペアガラスに結露が発生した時の対処方法と予防について

ペアガラスの結露の対処法と予防法

以下で解説する結露対策の方法は、ペアガラスの室内側のガラスに起こる結露と内部結露の両方に効果があります。

換気を行う

換気することでペアガラスの結露を防止

換気はもっとも簡単かつ効果も高く、費用もかからない結露対策の基本です。

お部屋の湿度が高い状態だと、ペアガラスであっても結露は発生します。

窓を開けて空気の入れ替えを行うと、水分を多量に含んだ空気を外に逃がすことができるため結露が起きにくくなります。

室内の空気を循環させる

結露の対策には、温度が高くたくさんの水分を含んでいる空気を外に逃がすことが効果的ではありますが、真冬にしょっちゅう窓を開けて換気を行うと、室内は冷え暖房効率も悪くなることが懸念されます。

結露を防ぐとともに暖房効率の低下も防ぐには、空気がなるべく同じ場所にとどまらないように工夫すると良いでしょう。

おすすめはサーキュレーターの導入で、室内の空気を大きく循環させることで暖かい空気が窓まわりにとどまらせず、結露の発生を防止することができます。

パネルヒーターを利用する

パネルヒーターは窓の下に取り付ける板状の暖房器具で、冷たい外気によって冷えた窓まわりの空気を暖めることができます。

北海道や東北地方などではボイラーの温水熱を利用したセントラルヒーティング式のパネルヒーターが用いられ、ペアガラスとセットで使われている住宅が大半を占めており、寒冷地で通用する断熱性の高さと結露の防止効果の高さが伺えます。

ですが、セントラルヒーティング式のパネルヒーターは後付けで設置しようとなると床材をはがして配管を通さなければならず、工事が大掛かりとなり費用や工事日程もかかってしまうためリフォームでの導入例は多いとは言えません。

そのため、リフォームを行わず手軽に導入するのであれば、電気式のパネルヒーターがおすすめとなります。

コンセントから電源を取ることができ、設置も簡単です。

窓下ヒーター(ウインドーラジエーター)を利用する

窓下ヒーター(ウインドーラジエーター)は、窓の下に設置する暖房器具です。

板状のパネルヒーターと違って細長い棒状の見た目をしており、床に置いて使用します。

サイズが決まっている定尺タイプと長さが調節できる伸縮タイプがあるため、窓のサイズに合わせて設置しやすいです。

こまめに結露の水滴を掃除する

窓の水滴を取り除く

室内側のガラス面に結露ができていたら、放置せずなるべく早く水分を取り除きましょう。

結露を放置するとシーリング材の劣化原因となり、ペアガラスの寿命を縮めて内部結露の発生リスクを向上させてしまいます。

乾いた布や吸水性の高いスポンジなどで拭き取るか、結露の範囲が広く窓ガラス全体に広がっている場合は結露取りワイパーや窓掃除用のスクイージーなどを使うと楽に結露水を掃除できます。

ペアガラスに内部結露が起きたら、早急な交換がおすすめ!

ペアガラスの中空層内で発生した結露を見つけた場合は、修理はできないので基本的に交換が必要となります。

中空層に乾燥空気やアルゴンガスを封入したり真空状態にしたりするには、工場で作業を行わなければなりません。

劣化したシーリングの亀裂や穴など隙間を埋めるだけではペアガラスとしての機能を発揮できませんし、現場で中空層の結露取り(水抜き)もできないうえに意味もないため、修理ではなく交換対応となるのです。

また、交換対応が遅くなるほど内部結露は進行し、カビやダニの発生から二次被害が起きる可能性もあります。

ペアガラスは商品の構造上受注生産となるため納期があり、1枚フロートガラスの割れ替えと違って当日や翌日の交換も難しいです。

そのため、内部結露を見つけたらなるべく早めに取り換えをご検討され、業者に依頼されることをおすすめいたします。

ペアガラスの内部結露は、自分で直せないの?

内部結露はペアガラスの寿命と言えますので、修理方法はなく応急処置をしても根本的に解決することはできません。

お客様の中には、簡単な応急処置として破損したシーリングの穴を埋める方もおられます。

穴を塞ぐことでそれ以上外の空気が中空層に入ることを防止できますが、入ってしまった湿気を中空層に閉じ込めることにもなってしまうのです。

また、ドライヤーやヒーターの熱風を当てることも避けた方が良いでしょう。

温風をあてると水分が飛び結露の水滴がなくなりますが、一時的なものであり水分自体は中空層の内部に残っています。

冷たいガラスが急に熱せられると、ヒビが入る可能性もあり危険です。

ペアガラスの交換は、使用期間によって依頼先を変えよう

ペアガラスの交換は各メーカーに直接依頼するか、一般のガラス屋への依頼となります。

使用期間10年未満のペアガラスに内部結露が起きた場合は、保証書を確認しメーカーに連絡することをおすすめします。

ほとんどのメーカーはペアガラスに10年間の保証期間を設けていますので、故意の破壊など一部条件を除き、正しく使用している状況でペアガラスに内部結露が起きた場合は無償で交換してもらえる可能性がございます。

ガラスの交換ならガラス屋ミーアへ

ペアガラス(複層ガラス)に結露ができる原因と対処法についてご紹介しました。

窓のペアガラスが内部結露して新しいものへの交換をご検討の際は、年中無休・お見積もり無料のガラス屋ミーアにご依頼ください。

なお、ペアガラスは特注品の為、ご依頼を頂いてからガラス交換を行うまでに日数がかかる為、結露したペアガラス交換をお考えの際はなるべく早めにご依頼される事をおすすめします。

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